28 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ28
手渡されたそれを持ち、靴を脱いでベッドに近付く。
寝かされた阿部はすでに意識はないようで、ﾋﾟｸﾘとも動かず逆に心配になる。
これって、どこに当てればいいんだ。
服の上から？直接？
俺は阿部の体を見回しながら悩む。
ただここに突っ立っていたら変だし急ごう。
俺は直接当てることにした。
阿部のズボンを下から捲るか上から突っ込むかで少し悩んで、結局上から入れる。
｢失礼しまーす……｣
急に触れてはいけない事を思い出して、小声で呟いてズボンのウエストを優しく引っ張る。
まぁ寝ているからわからないだろうけど。
ズボンの中を覗くと、俺は氷のうをそこに入れ込んだ。
冷たいからか阿部が体を捩って少し焦ったが、そのまま起きず安心。
ふと、ズボンを元に戻そうとした時だった。
痣のようなものが下着に隠れているのが見えた。
気になって少し下着をずらしてみると、やはりそれは痣で。
どこかにぶつけたのかな、と俺はその時はあまり気にしなかった。
すやすやと眠って目を閉じていると、ますます女の子に見えてくる。
可愛いな、なんてその顔に手を伸ばし頭を撫でた。
でも授業が終わるチャイムが鳴り慌てて手を離す。
……はっ、俺何やってんだ。
体操服のままの自分に気がつき、少し早い鼓動を無視してその場を離れた。
時間はあっという間にすぎ、5月末。
体育祭を迎えた。
赤団、黄団、青団があり、俺達は青団だ。
やっぱり無理してほしくなくて、あの後俺と阿部は競技を交代させてもらった。
あんなことがあったから先生も快く許可してくれた。
プログラム1番準備体操から体育祭は幕を開ける。
そして阿部とジェシーの100mリレーはプログラム2番。
出番は早々にやってきた。
俺と交代だから2番目に走る阿部。
バトンを受け取り、俺よりは遅いながらも800mの時よりはいい顔をしている。
それだけで十分だった。
バトンを受け取ったジェシーが、前に走っていた2人を軽々抜かし1位に。
仲間にバトンを渡しスピードを緩める。
目線の先では嬉しそうにハイタッチする阿部とジェシーがいた。
俺達の団はジェシーのおかげで1位。
でも何でだろう……
｢ねぇ、1位だよ！ジェシーすごいね！｣
横で慎太郎が嬉しそうにはしゃいでいてふと我に返る。
そして俺に違和感を感じたのか聞いてくる。
｢どうかした？｣
｢ううん、何もない。ジェシーすごいな！｣
嘘。心の中がモヤモヤしてる。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
