18 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ18
椅子に座らされ、靴と靴下を脱いで足を差し出す。
グラウンドでも怪我人が出たらしく、保健室の先生はいなかった。
ガチャガチャとそこら辺を漁った後、テーピングを持って俺に近付いた。
それを巻く間、無言の時間が流れる。
真剣に俺の足にテーピングをしてくれるその人に、何だか邪魔しちゃいけないような気がした。
｢はい、おっけー｣
｢あ、あざっす……｣
｢もう無理すんなよ？｣
そう言って俺の肩をトントンと叩く目の前の男は、またあの独特な空気感を醸し出していた。
言われた言葉に申し訳なく控えめに頷くと、満足したように笑顔を浮かべる。
｢あの、お名前は……｣
その空気に耐えきれなくてそう聞いた。
｢俺？俺は深澤辰哉って言います。2年｣
先輩か……どうりで見たことないわけだ。
その先輩はまたふにゃりと笑う。
｢君は……｣
｢あ、岩本照です。あの、ありがとうございました……｣
｢いやいや、気にしないで｣
もう全競技終わってるだろうから、クラスで分けられた片付け場所に行かなければいけない。
俺はそこから立ち上がった。
でも足が痛くて後ろに転けそうになり、思わずその人の腕を掴んでしまった。
｢あ、ごめんなさい……！｣
言うのが先か倒れるのが先か、その人が俺の方に傾いて俺は勢いのまま後ろの机に背中をぶつけた。
｢わっ、ちょっと何してんの笑｣
ほんと、何してんだ俺…
その先輩はまた困ったように笑う。
迷惑かけてるよなぁ。
その事を十分理解しながらも、俺はその空気から逃れたくて早く外に出ようと焦っていた。
｢良かったら教室まで付いてくよ？｣
そう言った瞬間、先輩のスマホが音を出す。
｢やっべ、俺体育委員で行かなきゃ｣
｢あ、全然行ってください！｣
｢いや1人で置いてく訳にはいかないから……｣
｢俺の友達を！｣
俺はポケットに手をやってその時思い出した。
試合直後だったからベンチのやつに預けっぱなしだ。
俺の動作を見て、先輩は顎に手をやり何かを考えている。
｢岩本くん？何部？｣
｢あ、えっと、ダンス部です｣
｢なら良かった！｣
先輩は嬉しそうにスマホを操作し耳に当てる。
しばらくして保健室を覗きに来たのは舘さんこと、宮舘先輩だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 550人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
