私達は双子で私は苦労人。【すとぷり】

かっこいい彼女。 ページ8

莉犬side

隣にいた、Aに背中を押された。
そして一言

『男ならシャキッとしてくださいよ。
莉犬さん』

俺は、それがたまらなく恥ずかしくて

「え……俺は別にっ………！！」

否定する。
だが、一歩も引かずAは俺の目を逃さない。

『早く行かないと取られちゃいますよ』

そんなの分かってる。

「だからっ…！」

でも、やっぱり恥ずかしくて否定する。
どうやら、肯定にはつけないようだ。

『早く行ってきてください。
あんた、それでも男ですか。
好きな女の前で、そんなカッコつかないことやっていいんですか？』

嗚呼、なんで逃してくれないかな。

不意にそんなことを思う。
そりゃ、カッコつかないよ。
分かってるよ。
でもさ、勇気が出ないんだよ。
Aは、かっこいい。
意気地無しの俺と違って。

いつも真っ直ぐで

前だけ見てて

何にも恐れてない。

そんな君が羨ましい。

吹っ切って真っ直ぐ前見て雫の方に走っていく。
俺は背が小さい。
ずっと、それがコンプレックスだった。
でもそれは雫ちゃんと出会うまでのことだった。
出会ってからは違った。
雫ちゃんは、俺よりも小さい。

”可愛いね”

と言えば

”そんなことない”

と不機嫌になる。

”どうして？”

と聞けば

”小さいのは嫌だから”

と言う。

うじうじしてる俺よりもよっぽど大きく見えた。

「莉犬？」

それから関わるにつれてどんどん好きになった。
さとみくんやころちゃんが雫ちゃんのことが好きなことも知ってた。
だから、できる限り関わらないようにしてた。

俺みたいなかっこ悪いやつよりきっと、かっこいい2人の方がいいから。

そんな意味不明なことを言い訳に。
でも、そんなの関係ない。
今は、自分の気持ちにどれだけ正直になれるかだ。
だから、今だけは……

「あっ、あのっ…！俺も大好き…じゃなくて！！｣

勇気を出して

｢あっ、あっ、あっ、愛してる！！！」

正直になってみよう。
愛してる。なんてぶっ飛んだ言葉、初めて女性に対して使った。
雫ちゃんは茹でダコ状態になる。
俺もつられて、茹でダコに。

「いいなー、私もあんなイケメン達に囲まれたい。
そして、告られたい」

「叶わない夢は願うもんじゃないよ」

「あ”ぁ”羨ましい！！」

「でも、誰となってもお似合いじゃん！」

雫ちゃんからの返事がただたた怖くて周りの声が耳に入ってこない。

「あっ…いや……/////」

嗚呼、やっぱり可愛いな。

醤油か豚骨かって言ったら味噌一択。→←茹でダコよりたこ焼き派ですが何か。

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