私達は双子で私は苦労人。【すとぷり】

茹でダコよりたこ焼き派ですが何か。 ページ7

貴方side

「え…俺は別にっ……！！」

そうは言っても、私は分かってた。
君が雫に好意を寄せていることを。

『早く行かないと取られちゃいますよ』

「だからっ…！」

『早く行ってきてください。
あんた、それでも男ですか。
好きな女の前で、そんなカッコつかないことやっていいんですか？』

莉犬さんの言葉に被せるように台詞を吐く。
彼はと言うと、少し躊躇いながらも雫の方へと走っていった。
嗚呼、馬鹿野郎。

敵増やしてどうすんだ。

誰かと早く引っ付けとか思ってたの誰だよ。

全部全部、最初からじゃん。

そんな感情が脳内を駆け巡る。
さぁ、自分でも分かんないや。

「莉犬？」

数メートル先では雫が、急に自分に近づいてきた莉犬さんに疑問を持っている。
それぐらい察してあげろよ。
でも、それを察せれない鈍感少女も大変ですね。

「あっ、あのっ…！俺も大好き…じゃなくて！！
あっ、あっ、あっ、愛してる！！！」

愛してる。

そんな言葉聞きたくなかった。
もちろん、私に向かって言われた言葉じゃないってことぐらい分かってんだけどさ。
聞きたくない。
もう、聞き飽きた。
愛してる。なんて言葉を聞いた雫と言った莉犬さんまでもが、茹でダコ状態。
こっちから見ると、そういう展開面倒臭いんですわ。

「いいなー、私もあんなイケメン達に囲まれたい。
そして、告られたい」

「叶わない夢は願うもんじゃないよ」

「あ”ぁ”羨ましい！！」

「でも、誰となってもお似合いじゃん！」

嗚呼、五月蝿い。

「あっ…いや……/////」

嗚呼、鬱陶しい。

「俺聞いてないんだけど…」

「僕もです……」

嗚呼、狡い。

「俺と！」

「僕と！」

「俺と！」

「俺と！」

「「「付き合ってください！！」」」

嗚呼、羨ましい。
少しひんやりとした風が耳を擽る。
アスファルトは黄金色に輝く夕日に照らされ、何ともロマンチックな演出を出している。
それがムカつくほどに綺麗で足でキリキリと踏みつける。

「なっ……//////」

「めっちゃ困ってる」

「可愛い〜」

人間って正直者のやつもいれば嘘吐きもいる。

「顔、真っ赤」

「いいなぁ」

でも私は、できるだけ自分の心が傷つかないように

『嗚呼、綺麗だな』

嘘を吐く。
雫が、じゃなくて、夕日が。
今までの人生で見たきた中で一番綺麗だった。

”前だけじゃなく、たまには後ろも見なさい。
そしたら、何か落し物が見つかるかもしれない。”

お爺ちゃんの口癖だった気がする。

かっこいい彼女。→←男ならシャキッとしろよ。

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