私達は双子で私は苦労人。【すとぷり】

いい人にだって悪いところはあるってやつよ。 ページ27

るぅとside

皆は雫ちゃんの答えに呆気からん。
なんて言ったのか理解が追いついていないんじゃないかってほどに。

「そっか」

「だよな」

さとみくんやジェルくんはあたかも答えを知っていたかのように明るく振る舞う。
他の2人は呆然としている。
僕もそうだ。

「ひとつ聞いてもいいかな」

これまで黙っていたなーくんが口を開いた。
それに雫ちゃんは首を傾げる。
そしてにっこり笑い、

「どうぞ」

応えた。

「どうして？皆いい人だと思うけど」

なーくんの目は真っ直ぐで真剣な輝きを持っているように見えた。
それは決して怒っていたり悲しんでいるようじゃなく、皆のことを誰よりも思っている証拠だと思う。

「そうですよ。皆さんいい人です。
てか、いい人しかいません」

なーくんの真っ直ぐで真剣な眼差しに対して、雫ちゃんの目はきらきらとした輝きを持っているように見えた。
ここ(シェアハウス)に初めて来た時とは全くもって違った。
僕は初めて雫ちゃんの本当の姿を知ったような感じがした。

「それに対し、私はいい人じゃないんです」

嘘だろ。と言わんばかりにころちゃんが目を見開く。

「そんなことないでしょ」

「うん」

次々と上がる声に雫ちゃんは首を振る。
それはどこか悲しげで、でも清々しくて。
なんとも言えない。

「Aは言いました。
顔も性格も全てが完璧な私が羨ましいって。
でも違うんですよ」

どこが違うのだろうか。
雫ちゃんに思いを寄せていない僕でさえそう思った。
どこから見ても雫ちゃんは完璧。
100人中100人がそう答えるであろう。
皆は静かに聞いていた。

「この二重、作り物です」

淡々とした口調で驚くべき言葉が出てくる。

「目の色も性格も作り物です」

雫ちゃんの発言に声をあげる者はいない。
そんな滞りそうな空気の中、僕らは話を聞いている。

「アイプチにカラコンに」

声が少し変わった。

「全部作り物なんですよ」

彼女の顔は凛々しく気高く美しく、誰も何も言わせないような強い顔だった。

「母親もAも知らない。
ずっと私のことを完璧だと思ってくれた2人を失望させたくないから」

僕らは雫ちゃんを静かに見つめる。
家族想いなのは変わらないじゃないかと少し安堵。

「ごめんなさい」

深く深く頭を下げる。
それは僕らを騙していた罪悪感からか。
それとも嫌悪感からか。
僕らには分からない。
ドアのガラスに人影が写った。
背を向けている。
僕は微笑み、彼女らの優しさは本物だと確信した。

水が氷になると体積大きくなるんだぜ。→←そして親指下に向けろ。

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