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伍拾伍話 ページ19







「急に飛び出してこないでよ、石川ちゃん。
危ないよ〜」

「……自分で飛び出たわけじゃないんだけどなあ」




未だに抱きとめられているその手を離してもらって、皆の元へ戻る。
そして太宰さんの足を蹴りつけると共に針を回収し忘れたことを思い出す。

この人、潰した後に回収しなくっちゃね。




「………いいだろう、試してやるぬ」




せんせいの顔を見る限り、手出しは無用って顔だねこれ。
元から手を出す気はないんだけどさ、私の仕事範囲から大きく外れてるからね。




「柔い、もっと良い武器を探すべきだぬ」

「必要ないね」




植物握り潰したよ、あの人。
……まぁ、頭蓋骨を握り潰せる程の握力があるならそれも然り。
1度掴まれたらもうそこで終わり、…見ものだね。




「烏間先生の防御テクニックですねぇ」



言われてみれば確かに。
どこか既視感があると思えば、烏間せんせいの避け方や捌き方に似ている。

そして不意にアレは足を止めた。




「…どうした?攻撃しなくては永久にここを抜けれぬぞ」

「どうかな〜。あんたを引きつけるだけ引きつけといてそのスキに皆がちょっとずつ抜けるってのもアリかと思って」




声色からしてまだ余裕がある。

これ、訓練を積んだといえど元はと言えば一般人、基は中学生だもんね。
才能感じるなあ、ウチに欲しいくらい。




「安心しなよ、そんなコスい事は無しだ。今度は俺から行くからさ。あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ」

「良い顔だぬ、少年戦士よ。
おまえとならやれそうぬ、暗殺稼業では味わえないフェアな闘いが」




そして言葉通り、今度は防戦一方だった赤羽くんから仕掛け始めた。

相手が背中を見せたのは大きなチャンス。
赤羽くんもそれに気づいて走って最後の最後にトドメをさそうとしたら、何か、スプレー状の物が噴射されるような音が聞こえた。




「一丁あがりぬ」




…流石に中也さんみたいな力ばかりの考え無しではなかったかあ。脳筋タイプだと思ってたんだけど。




「長引きそうだったんで"スモッグ"の麻酔ガスを試してみる事にしたぬ」

「き、汚ぇ。そんなモン隠し持っといてどこがフェアだよ」




麻酔ガス、か。
あれ、ちょっと待って。あの"スモッグ"って人の麻酔ガス…確か、




「俺は1度も素手だけとは言ってないぬ。
拘る事に拘り過ぎない、それもまたこの仕事を長くやってく秘訣だぬ。至近距離のガス噴射、予期してなければ絶対に防げぬ、」




言葉を遮るように響いたそれはガス噴射の音だった。

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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時

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