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伍拾壱話 ページ15







今、すれ違った。

視線すらも合わせないってことはここでのトラブルは避けたいんだろうね。
政府の名前が効かないホテルなんだから。




「ホテル内の全員が敵かと思ったけどこれなら最上階まですんなり行けそうだね。
仮に何かあっても…前衛の烏間先生が見つけてくれるしさ」




横で茅野さんがそう言う。

まー、今のところはねって思いたいところだけどそーんな上手いことできてないんだよねぇ。




「楽勝じゃねーか、時間ねーんだからさっさと進もうぜ」




烏間せんせいの後ろに居た寺坂くんと吉田くんが前に出た。

……。
まって、アレってどこかで見覚え、




「寺坂君!!そいつ危ない!!」




不破さんが叫んだと共に男はマスクを付けて、ポケットから何かを取りだした。
近くにいた烏間せんせいが身を呈して2人を後ろに引きずる。

さてさて、準備でもしようかな。




「…何故分かった?
殺気を見せずすれ違いざまに殺る、俺の十八番だったんだがなオカッパちゃん」

「だっておじさん、ホテルで最初にサービス名ドリンク配った人でしょ?」




人相違いすぎない?
…不破さん、よく分かったね。まぁでもその記憶と仮説が正しければ判断はできるよね。




「断定するには証拠が弱いぜ、ドリンクじゃなくても…ウイルスを盛る機会は沢山あるだろ」




なるほど、そう来るんだ。
結果論を言わせれば、そんなのどーだっていいんだけど。殺そうとしたことに変わりはないんだし。




「皆が感染したのって飲食物に入ったウイルスだっけ、…確か竹林くんがそう言ってたんだけど。
クラス全員が同じものを口にしたのはサービスドリンクと船上のディナーのみ」




首筋、耳たぶ。
耳たぶに刺さっているピアスの飾りを触りながらまたゆっくり、口を開く。




「ディナーを食べずに映像編集してた三村くんと岡島くんも感染したなら感染源ってひとつになるんだけど…これが証拠にはならないかなあ」




微笑んで踵を返して太宰さんの後ろへと移動する。

次の瞬間、烏間せんせいが視界から姿を消した。少し下の方へ目を向けると這い蹲る姿が確認できた。




「俺特製の室内用麻酔ガスだ。
一瞬吸えば象すら気絶(オト)すし、外気に触れれば分解して証拠も残らん」

「ウイルスの開発者もあなたですね。
無駄に感染を広げない、取引向きでこれまた実用的だ」




……え、素直にアレ欲しい。
梶井さん、作ってくれないかなあ。

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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時

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