肆拾捌話 ページ11
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「……高けぇ」
律がこのホテルのコンピュータに侵入して見事内部の図面を手に入れたらしい。
それからホテルの入り方を教えてもらった。
目の前の崖を登った先に通用口があり、侵入不可能な地形ゆえに警備も配置されていない。正面玄関と敷地一帯に大量の警備が置かれてるならまず目的はそこだね。
「敵の意のままになりたくないなら手段はひとつ、患者10人と看病に残した2人を除き動ける生徒全員でここから侵入し、最上階を奇襲して治療薬を奪い取る!!」
せんせいのその言葉に皆の顔つきが少しだけ変わった。
「…危険すぎる、この手慣れた脅迫の手口。敵は明らかにプロの者だぞ」
「えぇ、しかもわたしは君達の安全を守れない。大人しく私を渡した方が得策かもしれません。
どうしますか?全ては君達と…指揮官の烏間先生次第です」
崖、どんなぐらいの高さだろ?
私は落ちても死なないけど万が一皆が落ちたら助けられるかどうかって問題が浮上する。
転落死は防げるように頑張りましょーね、太宰さん。こっちに向かってニコニコと微笑んでいる太宰さんに私も笑顔を返した。
「渚君、茅野さんすまないが…」
無理だと思ったらしい。
でも言われる前に皆はスイスイと崖を登っていく。
「それほど心配すること、特にないと思いますけど。指揮官の烏間せんせいが1番わかってますよね」
舌を出して笑って太宰さんを引きずり、皆と同じように登るために足をかける。
「未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから、烏間先生。難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」
「おぉ、ふざけたマネした奴等にキッチリ落とし前つけてやる」
ニコニコと笑って烏間せんせいと袋に入った球体のせんせいを見る。
いつもは付けていない左右のピアスがユラりと揺れた。
「注目!!目標山頂ホテル最上階!!
隠密潜入から奇襲への連続ミッション!!ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!!いつもと違うのは
3分でマップを叩き込め!!
「おう!!」
_____
あー…死にそう。
高いところあんま好きじゃない+動きにくい服装ってなに??
「A、」
「嫌です」
なんとなく太宰さんの言うことなら分かる。
言われる前に嫌と言うのが得策だってことも。
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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時