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緑「A、待つのだよ!」
『…っ、』
振り返らないまま掴まれた腕を振りほどこうとするもビクともしない。ここにはゴリラしかいないのか?
もう一度振りほどこうと力を入れた瞬間、思わず後ろを振り向いてしまった。何日ぶりだろうか、緑間くんの顔をちゃんと見たのは。久しぶりにも思える恋人との距離に先程とは違う涙が溢れた。
緑「っ!…A、頼む、俺の話を聞いてくれ」
『…いやっ、嫌だ…!聞きたくない!!わたし、別れたくないッ、マネージャーも辞めたくないよ、!!』
緑「A!!」
『っ、』
あの緑間くんが声を張って私の名前を呼ぶ。驚いて固まってしまったがおかげでパニックになりかけた頭が次第に落ち着き始める。
緑「…言いたいことは沢山あるがまずは、すまなかったのだよ」
そう言って緑間くんが頭を下げた。あの、プライドが高い緑間くんが頭を下げたことに私は息を飲んだ。
『待っ、!緑間くん頭上げて!』
緑「いいや、上げない。お前には酷いことをした、頭を下げるくらいでは許されないくらいにな」
『そんなことないっ、そんなことないからお願い…っ』
緑「…俺は、お前なら俺の気持ちを分かってくれると勝手を押し付けた挙句、理不尽にも逆上した。何も打ち明けていないにも限らずだ」
思い詰めたような言葉に引っ張られるように私は口を結んだ。話を聞かなければならないと思ったから。
緑「言い訳がましくなるが、Aに向けてしまった言葉に後悔した。どうしていいかも分からないまま俺は逃げたのだよ…あまつさえ他の男と親しげに話すお前を見て嫉妬して、やるべき事をしているお前に酷いことを…言った。謝っても許されないと思ってる」
初めて聞いた緑間くんの想いにツンと鼻の奥が痛む。悲しいような、嬉しいような、安心したようなそんなぐちゃぐちゃな感情が込み上げてくる。
そしてゆっくりと顔を上げた緑間くんの顔は何だか迷子になった幼子のようで、ズルいなぁとも思った。そんな顔をされては怒れる訳がない。けどこのまま許しても緑間くんは納得しないだろう。だから、
『傷付いたよ』
緑「っ!」
『ずっと悩んだ、ずっと苦しかった、ずっと泣いてた』
緑「あぁ…」
『ずっと、緑間くんに言った言葉を後悔してた。思ってても口に出さなきゃこんな事にはならなかったのにって』
緑「…あぁ」
『けどそれよりも…、先に話してくれてたら私だってって、ずっと思ってた!スカウトの話なんて全然知らなかったしさぁ…』
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肉巻きおにぎり(プロフ) - 夜遅くにコメント申し訳ありません、ずっと更新楽しみにしてたので、めちゃくちゃに嬉しかったです!どうかこれからも、体調に気をつけてゆっくり更新頑張ってください、本当に楽しみにしてます! (2023年2月7日 1時) (レス) id: 26e00175be (このIDを非表示/違反報告)
柚奈原(プロフ) - このお話凄く好きです!!どうか、更新してほしいです (2022年2月27日 6時) (レス) id: 8b030105a8 (このIDを非表示/違反報告)
彩弥 Ayami(プロフ) - 自分新規ですけど、このお話すごく好きです!2人が仲直りしてほしいので、更新して欲しいです… (2021年9月19日 15時) (レス) id: ea9a1583d4 (このIDを非表示/違反報告)
限界突破済みヲタク(プロフ) - 超面白い、面白すぎる、、どうか、どうか更新をお願いします…! (2021年9月18日 11時) (レス) id: ec647ac5eb (このIDを非表示/違反報告)
畑ケケ(プロフ) - もう、更新の予定はありませんか? (2021年7月23日 11時) (レス) id: 94b0c6b701 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めんたいこ。 | 作成日時:2020年5月14日 21時