この恋、期間限定につき。 (ページ1)

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__prologue ページ1

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『…っ、ねぇ、これやだ…っ、顔、見せて…っ』

学習能力の無いあたしは今日もいつもと同じセリフを吐く。

男女の営みってもんには体位ってもんが存在するけれど、この男はあたしを抱く時必ず自分の顔を見せない体位で攻め立てる。

それはもはや抱くとは言えない。

硬いベッドの上で四つん這いにさせられているあたしは客観的に見たら動物のソレ。

友達はみんなコレを愛し合う為の行為だなんて言うけど、残念ながらあたしにはコレが愛し合う為の行為だなんて微塵も感じられない。

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そもそも相手が彼氏でも何でもないんだから無理もないけど。

YG「…うるせぇよ。」

後ろを振り返ろうとするあたしの頭をねじ伏せるようにベッドに押し付けたその男が腰を打ち付けるスピードを速めるから、だらし無く口から漏れ出す自分の声が篭って耳に木霊する。

気の遠くなるような快感が身体を駆け抜けたあと、ベッドに横たわるあたしをよそに、カチャカチャと音を立ててベルトを締めた男が咥えたタバコに火を付けながらその場を離れて行った。

『…最低。』

聞こえるか聞こえないかの声で呟いたその言葉は空気となって消えるだけ。

ほんの少しでいい。
スプーンひと匙分でもいいから、愛というものを感じたいだけなのに。

失ってしまった記憶の中ではあたしは愛を感じていたのだろうか。

自分のことなのにまるでわからない。
どうしたって思い出せないんだから。

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