◇ ページ30
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「天堂先生、佐倉さんに告られたって本当ですか？」
回診中の廊下で誰もいないことを見計らって囁くと、彼は目くじらを立てて、手にしたiPadをぱたんと閉じた。
「お前まで。」
そのあまりに怒りに満ちた声色に逆鱗に触れたことを知る。
話題を変えるように、廊下を自主的に歩行訓練されていた患者さんに声をかけに行った。天堂先生から距離を取るように。
「ゆっくりですよ。無理せず休み休み、でお願いしますね。」
患者さんの肩に触れてその場を立ち去ろうと踵を返すと、フロアの壁にもたれた天堂先生がこちらを睨んでいた。
「すみません、お待たせして。次は611ですね。」
電子カルテを押しながら、先を進んだ。その刹那、思いもよらぬ力で手首を引かれた。
物品倉庫に引き摺り込まれて、何事かとあたふたする私を尻目に、マスクをずらして無理やり口唇を重ねた。クリームパンの甘いカスタードの香りが鼻先を掠めた。
「なにを勝手に不安になってる？俺が、あんな餓鬼に靡くとでも思ってんのか？」
唇が触れそうな距離で捲し立てられる。見下ろされる鋭い視線にどきりとした。
「自分に自信持てよ。」
こつんと当てられた額が温い。
「ごめんなさい。」
俯いて下唇を噛むと頬に骨張った手が当てられ、顎を支えられた。
「俺がキスしたいのはお前だけだから。分かったか？」
こくりと頷くと、「いい子だ。」と頭をぽんと撫でた。
「わかったら残り回診終わらせるぞ。」
「はいっ」
先に物品倉庫から出て行った彼の背を追いかけた。
【クリームパン】了
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黒尾(プロフ) - みっちさん» みっちさん、コメントありがとうございます。最初の頃は別人格だなと自分でも思いながら書いていましたが、最近の天堂先生は甘めなので一概に間違いでもなかったかなと思っています。ドラマ放映中は短編続けますので是非お付き合いください。 (2020年3月5日 9時) (
レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
みっち - とてもヤバかったです。ドラマとは、少し違う天堂先生が見れて嬉しかったです。これからも更新楽しみにしています！無理のないように頑張ってください！ (2020年3月4日 21時) (レス) id: fa88d31e53 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾(プロフ) - 無さん» 無さん、ありがとうございます！頑張ります！ (2020年2月13日 12時) (レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
無(プロフ) - きゅんきゅんさせてもらってます笑！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年2月12日 23時) (レス) id: bbcaf07bc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒尾 | 作成日時：2020年2月12日 10時
