第十六話 ページ16
あれから裏掲示板は誰も見れなくなったし、サイト自体もなくなった。
まだ私の事や青木先輩の事が気になる人が現れる程度で、その度にきちんと訂正している。
それでも七月の後半にでもなれば夏休み。
皆はもはやあんな小さな事件はなかったかのように、目の前の莫大な楽しみに目が爛々としている。
現に私たちも夏休みの計画は立てていた。
夏休み前にあんな濃い思い出を作ってしまったので、それの上書きする！と意気込んだ皆が誘ってくれた地元の祭りのチラシを見つめる。
高校生の初めての夏休み、満喫できるといいなあ。
・
暑く照らされた太陽の下、ひんやりと冷気がする室内へと入るとやっと体が休める。
夏祭りの一週間前、春夏と一緒にショッピングセンターにお買い物にきていた時のこと。
夏の行事らしく、浴衣のコーナーに二人で足を止めた。くいくいっと服の裾を摘まれた先には、ふわふわの髪の毛をゆるくお団子に結んだ春夏の姿。
春「ねえねえ、Aは浴衣着ないの？」
浴衣のことを春夏から聞かれて少し身構えてしまった。
それも中学生の頃、少しでも大人っぽく見せようとして薄水色の浴衣を着ていったら婦人と間違われて大変ショックを受けた覚えがある。
それ以降は着ていないので、基本私服が男性物の甚平でお祭りに参加していた。
「…うん、この身長に合う丈ってあんまないし。
あ、この甚平春夏が持ってる柄とお揃いだよ、どう？」
春「えっ！ほんとだ！可愛い！でもお互い二色展開だね…どっちにしようかな」
真剣な表情で浴衣を選んでる春夏をストーリーに乗せてみるとすぐ光輝からDMがきた。暇人か？
春「Aはどっちにする？」
「んー…着るとしたらこっちかなあ」
春「ふふ、絶対Aに似合うよ！
ねね！私はどっちの色の方が合うと思う？」
「そうかな…。春夏はねえ、こっちの桃色の方が肌が綺麗に見えると思う」
春「じゃあこっちに決めた！買いにいっちゃお！」
ルンルンで浴衣を買いにいった春夏を横目に、そっと女性物の浴衣の裾を掴む。
私もあんな風に小柄で華奢で、そんな女の子だったら、なんて思ってしまい心が少し曇ってしまった。
嗚呼神様、どうか当日は晴れでありますように。
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塩麹。(プロフ) - ふうかさん» ありがとうございます！地道にゆっくりと頑張らせていただきます。更新を楽しみにお待ちください！ (2021年12月14日 1時) (
レス) id: cc7b208a8b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - すごく面白いです!!続きが気になります!!更新待ってます！！ (2021年12月13日 1時) (レス) @page24 id: c4a626600f (このIDを非表示/違反報告)
塩麹。(プロフ) - Hano.さん» ご報告ありがとうございます。見直し次第修正させて頂きます。 (2021年9月21日 20時) (レス) @page7 id: cc7b208a8b (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - 7話の主人公の名前がなぜかAになってます。 (2021年9月21日 16時) (レス) @page7 id: ab344dd67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩麹。 x他1人 | 作成日時：2021年9月17日 23時
