ゼラニウム second tk×in (ページ38)

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「うぅ....」

高「やっぱり次の駅で一旦降りるよ」

「ううん、まだ大丈夫」

デート当日、高木の心配通りに電車は満員

高木が俺を壁側にして、スペースを作ってくれるというイケメンなことをしてくれているのだけど、まだ恐怖心が抜けない

高「あと5分くらいだけどいけそう？」

デートだというのにこんなみっともない姿見せて申し訳ない気持ちでいっぱいになる

高「聞こえてる？」

こんな何度も倒れそうになってしまう俺を見て高木に幻滅されないだろうか

高「ねぇ伊野尾くん」

うつむいてしまった俺を高木が心配そうに覗き込んできた

　

高「なに考えてる？俺はどんな伊野尾くんも好きだよ」

あぁ、そういえば高木は優しい人だった

どんなときも俺を一番に考えてくれる優しさの塊みたいなやつだった

その一言で胸がいっぱいになってなにも言えずに微笑んだ俺の手を握ってくれた

高「ほら、もうすぐ着くよ」

「高木....」

降りる駅まで何度も何度も高木が話しかけてくれ、気を紛らわすことができた

高「ほら、着いたよ」

「へへ、ありがとう」

降りる寸前で離された手が名残惜しかったけど、途中で降りることなく目的地までついたのが嬉しかった

そこからは海沿いだということもあって、人もバラけていてとても過ごしやすそう

高「先にお昼食べてから行く？」
　

「うんっ」

高木の提案で水族館は後回しにして、先にショッピングモールでお昼を食べることにした

そのショッピングモールは簡単にはこれないぐらい高校から離れているから、数年ぶりに来た俺は辺りを見回しながら歩いていた

高「あれ」

「うぐっ」

高「あっ、ごめん」

前を見ずに歩いていた俺は高木が立ち止まったことに気づかす、後ろからぶつかってしまった

「どうしたの？」

高「あれ、有岡くんだよね」

高木が指差す方を見てみると、見覚えのあるシルエット

「え、大ちゃんじゃない？」

思わぬ遭遇をして楽しくなってしまった俺は大ちゃんの方へと向かっていった

高「あ、まって！止まって！！」

俺は、急に高木が大声を出した理由も、大ちゃんに向かっていくもう一人の人物にも気がつかなかった