【2j3j】それもまた愛ならば【短編集】

◇ ページ7

、


一人寂しくお弁当を食べながら時計を眺める。

いつも一緒に食べている友人が呼び出されたらしく、すぐ戻るから先に食べてて、と言われて食べていたがちょっと時間がかかりすぎではないだろうか？

既に私のお弁当も残り二割程度にまで減っていて、周りにはもう食べ終わっている子もまあまあいる。

寂しいなぁ、と思いながら卵焼きを食べていると、焦った顔の友人が教室に駆け込んできた。

「A！アイツなんなの⁉︎アンタ、あんな奴と付き合ってたの⁉︎」

「え、ちょ、どうしたの？私、付き合ってる相手とかいないんだけど。」

「彼氏じゃないならなんだって言うのよ！本当にアイツやばいわよ！」

震える手を私の肩に置いて「アイツはダメだ」と繰り返す友人。

一体何があったんだ、と思いながら宥めていると、後ろから腰に手が回った。

「ちょっと、Aに変なこと吹き込まないでくださいよ。」

「アンタ…！A、逃げて！ハチマキなんかのために人を呼び出して脅してくる奴なんて、ろくな奴じゃない！」

「A、惑わされたらダメですよ。僕達を引き裂こうとする人なんか、キミの友達に相応しくない。」

私を挟んで互いに睨み合うシュウと友達。

ハチマキなんかのために人を脅す？

それはつまり、シュウが友達を呼び出してハチマキ交換を辞めさせようとしたということ？

友達が彼氏だと勘違いしていたのはシュウのことで、シュウは友達を脅して、それで友達は逃げてきたというなら。

腰に回されていた手を叩き落としてシュウから距離を取る。

案外簡単に外れたそれに驚いてシュウの顔を伺うと、信じられない、と言いたげな顔をして私を見ていた。

「シュウ、ごめん。もう付き合い切れない。」

◇→←束縛、幼馴染、ymn

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す