私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ30)

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隣は爆豪の部屋。

普段そんなうるさくしてないし、そんな夜中にドンドンと壁に物がぶつかる音がしていたら不審に思うはず。

爆豪なら気付いてくれると、
死柄木弔に投げつつ、壁にも投げていたのだ。

さすが、爆豪。

ちゃんと、気付いてくれた。

ヒーローが来るという事はきっと…

こいつらは逃げるはず。

『よ、よかっ……、』

「安心するにはまだ早いんじゃない？」

『え、』

ホッとして、爆豪に泣きついていれば。

ふと、聞こえたそんな声に。

目を開ける。

「ねぇ、殺すよ」

変なモヤの奴の個性。

私と爆豪の目の前に現れたモヤから、
伸びてくる手が見える。

それは、さっき私に伸ばしかけていた手。

物を破壊してしまう手。

その手が、私の前にいる爆豪に

迫る。

『…ば、爆豪っ、』

爆豪一人ならきっと避けてる。避けられるはずだ。…私がいるから、避けられないんだ。

『よっ、避けて！！』

そう必死に叫ぶが、爆豪はそのまま私の前から動かず、舌打ちをするだけ。

だめっ…

その手に触れたら…、

嫌だ！

『ばくごっ…、』

「…は、」

私は今、出来る限りのスピードで。

前にいる爆豪の肩を後ろへ引いて、

『ーーッ、』

その手から守るように、

爆豪に覆い被さった。

『っあ、ああっ……、』

背中が、

痛い、

痛い痛い。

痛いどころじゃない。

皮膚が、肉が削ぎ落とされるような、

刺すような、焼けるような、

味わった事のない、痛みが私を襲う。

刺し傷なんか比にならないくらいの痛みだ。

「お前っ…、」

何してんだと、私の腕の中でもがく爆豪。

離して、やんない。絶対に。

離したら、あの手に、

その何もかもを消してしまうその手に、

捕まってしまう。

爆豪が、傷ついてしまう。

『っ……』

大丈夫、かな私…

背中が消えてたりしないかな…、

ってかこれ…このままだと死ぬんじゃない？

あ…本当だ。

死ぬねこれ。

少しくらいなら治癒で治るかなとか思ったんだけど…

死柄木弔の手はいつまで経っても退く気配はない。

…ついさっきまで死にたくないからと爆豪に助けを求めたのに。死ぬね。

………でも、何でかな。

この人の為になら、いいかもなんて。

『……ッ、』

痛みに気が遠くなってきた…

爆豪を抱き締めている腕に、

力が入らなくなってきた…

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