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物を、投げ続けろ私。
本や服。順番に。
次から次へと投げて行く。
「ああもう。うざったいなあ、」
死柄木弔は流石にムカついてきたのか、物にぶつかっても構わず。こちらへ歩いてくるから。
足をバタバタとさせながら、私は出来る限り。
後ろへ下がる。
『く、来んな!やだ!』
「うるさい」
『またっ…死にたくない、』
嫌だ…っ、
壁でこれ以上下がれない私に、死柄木弔の手が伸びてくる。
あぁ、思い出す。
私が、殺される時の事を。
薄れゆく意識の中で、あの女の声がした。
ーーー死んでよ、
そう、言ってた。
そう、確かに。聞こえた。
私は思ったよ。
あぁ、私は本当にイラナイ子だったんだって。
生まれてきた意味は何一つなくて、
誰からも必要とされてなかったんだって。
あと少し。
死柄木弔の手は私の頭に触れる。
触れてしまう。
『………っばくごう、』
『……たすけて、』
小さな、震えた、声だった。
誰にも、聞こえやしない声。
……のはずだった。
「A!!!」
「チッ」
私の部屋のドアはものすごい音で、蹴破られ。
部屋に、光が差し込み。
それと同時に入って来て私の名前を呼んだ、
『…っ爆豪!』
クリーム色をツンツンさせて、すごい剣幕、赤い瞳で私と死柄木弔の状況を確認する、
爆豪。
「邪魔が入った」
死柄木弔は爆豪の姿を見ると、舌打ちし素早く攻撃態勢に入って距離を詰めた爆豪に反応して同じ様距離を取る。
そのおかげで私からも離れたわけで。
その隙に爆豪は私に背中を向けて、私を守るような体勢になる。
『ばっ…ばくごっ…、』
「怪我は」
『ないっ…!!』
「遅くなった」
『いい!大丈夫!許す!!』
「随分と上からじゃねえか」
こんな時でも、いつもの、爆豪だ…
久しぶりすぎる爆豪の安心する背中に縋り付くように服を引っ張る。
「テメェ…ヴィラン連合の…、」
「もう君らには興味ない」
「クソ髪にプロヒーローを頼んだ、すぐ来るはずだ」
爆豪は意外にも冷静に、そう言えばフッと鼻で笑う。
『ばっ、ばっ、ばっ…ばくごうっ、』
「泣いてんじゃねえよ、汚ねぇ!」
汚ねぇって!
酷くない!?
人が怖い思いしてたっていうのに!!
回らない頭を必死に回転させて爆豪に助けを求めたのに!!
そう。実は。
さっき、死柄木弔にも投げつつ壁にぶつけていた物。
わざとなのだ。
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まあり(プロフ) - しおきゃらめるぱふぇさん» ありがとうございます…! (2021年8月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
しおきゃらめるぱふぇ - フハハハハハこれはあかんわ、あかん心臓もたへん (2021年8月2日 22時) (レス) id: c7f2f9aa97 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - ここねさん» ありがとうございます! (2020年4月1日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - まありさん» そうなんですね!書くなら、楽しみにしています! (2020年4月1日 14時) (レス) id: 43fbbe1d59 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - ここねさん» お礼を言っても言い足りないです…!どうしようかなって思ってます! (2020年4月1日 6時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年3月26日 16時