私の安全地帯は爆豪の後ろ。2【爆豪勝己】 (ページ11)

今日:15 hit、昨日:2 hit、合計:566,085 hit

ーーーーページ11

ー

『ちょっ、急に入ってこないでよ！いいって言ってないでしょ！変態！』

「あ？俺を変態呼ばわりかよ。いい度胸じゃねえか」

『女の子の部屋に入る時の常識くらい学びなさいよ！』

「ああ？めんどくせえよ」

『変態はモテないよ！』

「変態じゃねえ。それに勝手に人のベットで寝てた奴がよく言うなあ」

『あ、あれはわざとじゃないじゃん！私だって好きで爆豪のベットにいたんじゃ…！』

いつもの言い合い。

だけど私はそこで、口を閉じる。

そうだった…

サキが…

爆豪が来た事で一瞬、忘れてた…

「……」

『……』

「………あの女と知り合いか」

私が口を閉じたのを見て、爆豪は私にそう聞く。

『し、知り合いってほどじゃ…』

「あっちは友達だとか言ってた」

『…っ！』

友達って…

何をっ…

『……じゃ、じゃあ、そうなのかも…』

サキの意図が分からないし、友達だなんて死んでも嫌だけど、

何より爆豪に知られたくなくて、説明もしたくないので私がその話にのると。

「……」

『…な、何』

「……」

爆豪はジッと私を見つめる。

まるで私の考えを見透かしているように。

私の思考を読むように。

その赤い綺麗な瞳は、静かに、私を映す。

「……」

『……、』

「……」

『……ばく、ごう？』

「……」

沈黙に耐えられなくて、爆豪を呼べば。

爆豪はスッと目を細め、ポケットに乱暴に手を突っ込むと「…ッチ」と小さく舌打ちをする。

え？え？

なぜ？

Wｈｙ？

何の、舌打ち。

「あの女、オメーみてえに引っ付いてくるからうざってえ」

『えっ…』

私、みたいに…？

『つまり、爆豪はサキの親鳥に…』

「なってねえよ！ちなみにおめえのにもなった覚えはねえかんな！」

『……、』

ああ、知ってる。

違う。

違うよ、爆豪。

きっと、サキは…

気に入ったんだ…

爆豪の事…

前の世界でよく噂になっていた。

サキの彼氏、どっかの不良グループのリーダーらしいだとか。

危ない男や、強面の男が好きだったらしい。

爆豪は見た目も性格も怖いからサキのタイプ…

まだ知らないだろうけど…優しさもある。

爆豪がきっとサキにそれを見せたらきっと…サキは。

………何だろう。

心臓が、痛い。

それは朝の時みたいな痛さとは違う、また別の痛み。

ー