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刹那。


パンッと、乾いた音が響いて頬に痛みが走り少しずつジンジンと頬が熱を帯びていく。

男に、叩かれたのだ。


久しぶりに感じた痛みなはずなのに。

まるで一瞬で半年前の私に戻った様だった。



痛い、

嫌だ、

ここから離れたくない、

離れたく……



『……っ、』



ないはずなのに。


体は、諦めたように力が抜けて

簡単に足は進む。

力で敵うはずがない。

分かってる。

分かりきってる。


…というかこの人に散々思い知らされた。


両親に、思い知らされた。


だからね。諦めは、良い方だと自分でも思う。



「最初からそうやって素直に着いて来りゃいんだよ」



叩かれて大人しくなった私を鼻で笑った男は力の抜けた私の腕を乱暴に引っ張る。



『…………っ、』


「あ?」


『………さんっ、』



頭に浮かぶのはあの、笑顔。



『………れ、んごく、さん、』


「ぶつぶつ言ってんじゃねぇよ」



優しい手。

私より高い温度。

あの、落ち着く匂い。









『れんごく、さん、』



どうして、仕事に行っちゃったの。

どうして私を、一人にしたの。



「さっさと歩け」


『…っ、』



煉獄さん

ねぇ、

煉獄さん、

どうして







私を必要だと言っておいてくれなかったの、



「足を止めんじゃねぇ。あの男が帰ってくる前に行かなきゃ面倒だろうが」


『煉獄、さん、』



煉獄さんはそんな人じゃないと分かっているのに、こんな男の言葉だけでこんなにも不安になってしまう。
私の心は一瞬で、真っ黒に染まってしまう。






煉獄さん


煉獄さん、


聞きたいんです




あなたの口から、

たった一言でいい。


お願い、


私の欲しい言葉を



ください。









「……何、してる」



その声が聞こえた瞬間、温度が下がった気がした。ピリッとした何かが流れた気がした。それは少しでも動けば殺されてしまうのではないかと、思うくらいの、殺気だった。








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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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まあり(プロフ) - まゆさん» 嬉しいですーっ!読んでくださりありがとうございます!最後までぜひよろしくお願いします! (2021年3月6日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 煉獄さんかっこいい、、、最高!!!!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!応援しています!(*^^*) (2021年3月5日 21時) (レス) id: 89f8187042 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 明日香さん» すみません!修正してきました!教えてくださりありがとうございます! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
明日香(プロフ) - 33話の次が26話ですか? (2021年3月3日 18時) (レス) id: c2c1adce1e (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 凪子さん» わーっっ!!ぜひぜひ最後までよろしくお願いします!ありがとうございますー! (2021年3月3日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まあり | 作成日時:2021年2月23日 21時

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