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『それから走って、走って…方向も分からないままただ走っていたんです。途中で知らない人に声をかけられたり数人の男達に囲まれたりもしたけど…どうにか振り切って…気づいたらあの小屋へ駆け込んでいたんです』
もしかしたら途中途中言葉がおかしくなっていたかもしれない。
だけど煉獄さんはそんな下手くそな私の言葉にたまに相槌を打ちながらそしてたまに眉を寄せていたが最後まで聞いてくれた。
『…それで、多分その…記憶がたまに夢に出てくるんです』
私は話しているうちに下がっていった視線を上げるのが怖くて、畳を見つめる。
面倒くさい奴だと思われていないかな…
両親を捨てた最低な奴だと…
「……」
『…れんごくさ、』
「もう、いい」
『え、』
煉獄さんがそう言うと、気づけば私の額は煉獄さんの肩にあって。
私の後頭部には大きな手が回されていた。
安心する香りと煉獄さんの体温に気持ちが落ち着いていく。
昼間とは違く、いつもの夜とも違う、少しだけいつもと違った声のトーンに不思議に思いながらも甘えてそのまま肩の力を抜く。
「俺の元へ来てくれて本当に良かった」
『…本当に、ありがとうございます、』
「いや、今は寧ろ俺が面倒見てもらっているからなあ」
『そんな事ないです、あの時私は煉獄さんに命を救ってもらったようなものなんです』
もしあの時煉獄さんに気付かれなかったら、傷も酷いままだっただろうし。正直今、生きていたかも分からない。
ここに置いてくれるだけですごく嬉しいのに、
泣きたくなるくらい優しくしてくれて。
いつだって感謝してるんだ。
どれだけ感謝してもしたりないくらいに。
あんな風に生きてきた私が褒められた事なんてあるはずもなくて、
私の作ったご飯を美味しいと言ってたくさん食べてくれて嬉しくて。
殴る冷たくて痛い手じゃなくて、温かくて優しく私の頭を撫でてくれる煉獄さんの手がすごく好きで。
そばにいるだけで何故か安心する煉獄さんの存在は私にとってすごく大きい。
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時