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ピンポーン、と空気を読まずインターホンは鳴る。
ここで出ない訳にもいかないし、
前髪を頑張って整えても私の抵抗はあえなく失敗。
なんとかアイラインは直せたから、まだマシかな。
前髪を押さえながら家を出る。
いつも見慣れたパーマのかかった黒髪と、綺麗に染まったピンク髪が目に入る。
「 おはよう、前髪大丈夫か〜〜？ 」
「 おはようAちゃん、」
おちょくるように笑みを浮かべ顔を覗き込んでくる北斗。
ほんっとこいつ！！ムカつく！
その後ろで 急にごめんな、と眉を下げる樹くん。
あーもう樹くんは悪くないのに。北斗が全部悪い！
…いや前髪失敗したのは私が悪いけど。
「 も〜〜いいから！ごめんね、おはよう樹くん 」
「 おいおい、俺にもおはよう言えよ 」
と後ろでぶーすか言ってる男は放っておいて。
ずんずん前に歩いて行くと、樹くんが横に並ぶ様に歩幅を合わせて歩いてくれる。はあ…神様仏様樹様。
朝から拝めることに感謝。
それに関しては北斗にも感謝してやる。
「 Aおはよ、そんな前髪押さえてどしたの(笑)」
「 ち、違うの…失敗したから、」
「 失敗したの？だから押さえてんだ、可愛い 」
可愛い、可愛い、可愛い。
樹くんが自然な口調で発した「可愛い」が脳内にこだまして頬がめらめらと赤くなるのがわかる。
「 うわ、照れてんじゃん〜樹何言ったの 」
「 何って、ねえ？ 」
そう言って私に目を合わそうとしてくるから、未だ前髪は押さえたまま咄嗟に顔を逸らす。
今の私、絶対顔真っ赤だ…
「 イチャイチャすんのやめろよな、俺いんだから 」
「 悪ぃ悪ぃ、北斗の事も忘れてないよ 」
「 そういう問題じゃねえよ(笑)」
「 違ぇの、此奴が可愛かったからつい 」
また出てくるその「 可愛い 」 に更に頬が熱くなる。
ふと北斗を見ると樹くんを横目で見る視線がほんの少し、鋭かったような。まあ、気のせいだろうけど。
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作者名：ぴあまる | 作成日時：2020年8月12日 4時
