おまけすんちょる3

109 ページ9

.






SC SIDE








ブルーのドレスに身を包んだ君


この会場にいる誰よりも綺麗だった





明らかに食べ過ぎているA

心配で後をつけたらトイレに駆け込んで行った
そんな所でさえ、愛おしく思ってしまう



忘れられないんだよ、君のこと







｢ あれから何もない？｣


｢ 何も、？｣


｢ 映画館の男だよ。ストーカーとかあってない？｣


｢ ああ。うん全然大丈夫だよ｣





駄目なのはわかっている


Aの声を聞いて、近くに行ってしまえば
何もかも捨てて、逃げてしまいたいと思うから






｢ できたよ ｣





好きな人は出来たのかと聞けば"できた"と返されて

少し期待していたのかもしれない。
あの時したお願いを、覚えてくれてるんじゃないかと






｢ 馬鹿だよな、本当｣






会場に戻って行くAを見ながら
情けない声が、響くはずない所で響いて



自分から忘れろと言っておきながら
こうして話しかけるのに必死になって





｢ あ、｣





Aが付けていたブレスレット

小さく書かれたブランド名を読んでみると
ふつふつと黒い感情が芽生えてしまった



そこにはテヒョンの会社のブランド名が書かれていて


その服もその靴も全部、テヒョンに貰ったの？







.









.









｢ 他の奴を思って泣く姿も見たくない
何度も思ったよ、もっと早く出会いたかったて｣





Aをステージの上まで呼んだテヒョン

面白い事ってまさかこれのこと？







｢ 今は何とも思ってないだろうけど
絶対俺のこと好きにさせてみせるから｣


｢ 好きな人じゃなくて、俺をみて｣





Aを見ると、驚いて放心状態になっていて
その反応にも俺は苛立って仕方がない



ずっと俺が言いたかった台詞を、こうやって
目の前で言われているのを見ている





ねえA、もしテヒョンと俺が入れ替わっても
そんな反応して、目合わせてくれる？








.








目が合った途端逃げてしまった


前なら追いかけて行けたのに、今の俺には
その資格さえもなくてまた苛立ちが増していく






｢ オッパ、大丈夫ですか？｣


｢ ごめん。放っておいて｣


｢ …無理です｣






正面から抱きついてくるサラン

そうして欲しいのは、Aだけなのに






｢ 私は絶対悲しませたりしません。
お願いだから私を見てください｣


｢ ごめん、｣








だったら、A以外を見る方法を教えてよ


いくら探しても見つからない方法を









.

110→←108

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す