変わった形 (ページ1)

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ki side

「あぁ" ～やってらんねぇよ … 」

荷ほどきを半分近く終えたところで携帯のディスプレイに母親の文字が写る。

引越しのストレスとともに母さんからの電話かと、内心ため息をつきつつ電話に出た。

「もしも～し。」

「あ！ひろみつ？どう？ちゃんとできた？やっぱお母さん行った方がよかったんじゃないの？」

出るや否や一方的に質問責めしてくる母さんの声に昨日出たばっかりの実家を恋しく思いつつ

「大丈夫だよ。」とまだ沢山残るダンボールを見ながら答える。

「そう？あ！お隣さんの挨拶ちゃんと今日中にいきなさいよ？てか今行ってきな？忘れちゃう前に」

「はいはい、わかったよ。じゃあね」

と半ば強制的に話を終わらせて面倒臭さを残しながらその場に寝転ぶ。

はぁっとここに来て何回目だよってぐらいため息をついてしまうのはあまりにも大雑把に分類されたダンボール箱のせいだろう。

「うっしゃ、今のうち行っとくか～」

重たい身体を起こしお隣さん挨拶へ向かう。

つか挨拶って何言えばいいんだ？

これから関わることなんてそうそうないだろ …

無造作に置かれた手土産を持ちお隣さんの部屋に向かう。

何故か表札はなくなんか人住んでんのか？ってぐらい物音がしない。

もしかしたら留守かなとおもいつつインターホンを鳴らすと玄関のドアが開いて中から若い男の人がでてきた。

お隣さんは息を呑むぐらい容姿が整っていた。

鼻も高くて声も男の人にしては少し高いけどすごく綺麗で男でもみとれるぐらいイケメンだった。

「あの、どうしました？」

「あ！すいません、今日から隣に引っ越してきたんで挨拶に来ました。これつまらないものですけどどうぞ。」

緊張しながら頭の中で考えた言葉を口に出し手土産を渡した。

「あ、今日からだったんですね。藤ヶ谷っていいます。これからよろしくお願いしますね」

と微笑むお隣さんはさらにイケメンに感じた。

「あの … どうされました？」

ぼーっと見つめている俺を見て不思議そうに声をかけた藤ヶ谷さん。急な問いかけにストレートに

「いやイケメンっすね …」と口に出してしまっていた。慌ててすいませんと謝る。

「いえいえ嬉しいです。あのちなみにお名前なんて言われるんですか？」

「あ、北山宏光っす。」

「北山宏光… 素敵な名前ですね、じゃあ仲良くしてくださいね北山さん。それでは。」

微笑む藤ヶ谷さんにドキッと心臓が高鳴る。