20話 ページ21
頭がパンクしたように、思考を放棄する。
体温が急激に上がったせいか、くらくらしてしまう。
でも、その感覚が何故か心地よく感じる。
アルベドさんと視線が混じり合うと、熱は余計に増し、反射的にベッドから転げ落ちる。
『イッタ！？』
私の様子にクスクスと笑う彼を見て、何故か心が温まる。
ムカつく。
わたしが拗ねたようにそっぽを向くと、まだおかしいらしく小さく笑いながら謝る。
許さないです。ごめんって。
そんなやり取りを数回繰り返したところで、私まで笑えてきた。
そう、こうしていると普通に笑えている。
アルベド｢キミのことについて、ひとつ分かったことがある。｣
その言葉にドキッとする。
アルベド｢君は、恐らくだけど、今回のような発作を以前にも何度か起こしているんじゃないかい？｣
全てを見透かしたような青い澄んだ目が、私を捉えて離さない。
『.....小さい頃はこの比じゃなかったです。ジン団長の帰りが少し遅いだけで過呼吸を起こしたり、やけに眠りが浅かったり、寝れたと思ったら幼少期の夢を見てしまったりで......。もう、慣れちゃったんですけどね。』
最初の頃は苦しかった。
でも、今じゃもうどう思ってるのか分からなくなってしまった。
わたしは、両親を恨んでるのか。もう分からない。
アルベド｢間違いない。君は、トラウマによる心的外傷を抱えてしまっているんだと思う。ボクは、医師でもカウンセラーでもないから、専門的なことは言えないが、情報を集める限りは間違いなく該当していると思う。｣
馴染みのない言葉。
アルベド｢これを良くするには、キミの根気と時間が必要だ。そうでないと、キミは一生苦しむことになってしまう。｣
昨日は、消えたくて寂しくて、世界にひとりぼっちな気がして、いろいろな感情がぐちゃぐちゃになって、ごちゃ混ぜになってしまっていたが、可能ならもうあんな風に苦しみたくはない。
アルベド｢そこで提案なんだけど。｣
アルベドさんが急にニヤケ始める。
嫌な予感がする。
アルベド｢キミに興味がある。この件をボクに一任してくれないか？｣
『断る。』
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作者名：ウォシュレット | 作成日時：2021年12月7日 6時
