ほっとらて【短編集】

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次の日の晩


「 怪盗が逃げた 」と、屋敷はもう何度目かの騒ぎになっていた






それでも私は部屋に籠ったまま綺麗な夜空を見上げていた




これでいいんだ、きっと


彼にとっても。私にとってもこのままで








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暫くして、屋敷が静かになってきた




捕まったのか、はたまた諦めたのか知らないがもうそんなこと私には関係ない






今、つけているこの指輪が輝いてくれる限り


彼のことは忘れないと思うから










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ガタンっと私の部屋のバルコニーから音がして、恐る恐る覗く




「 っ、！さとみ！ 」

『 シッ、静かに 』




庭の方から警備人達の声が聞こえる


まだ追われているんだ








「 何しに来たの、馬鹿なの？ 」

『 …馬鹿？w んなわけねーだろ 』

「 、そんなことより手当するから中入って 」

『 いや、ここでいい 』



月夜に照らされるバルコニーで、彼と向き合う






『 盗み忘れたものがあるって言ったでしょ 』


そういえば、お父様の前でそう言っていた





『 だから…盗みにしました。お嬢様 』


彼はそう言って、私の前に膝をつき手を差し伸べた





「 、どういうこと？ 」

『 その指輪。月光に照らしてみな 』



指輪をとって月に照らす


色が変わったダイヤの中から、文字が見えた







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I wanna be free(自由になりたい)






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これは母が彫ったものだろうけど、私自身にも確実にその思いは芽生えている




『 どうすんの 』

「 …行っていいの？ 」

『 今みたいな生活は出来なくなるよ 』

「 、さとみと一緒？ 」

『 一緒。家族になるんだから 』




家族


私にはそんな人いなかった気がする







「 …、 」


私は彼の手を取る







私の心まで奪った怪盗さんにこの責任を取ってもらうんだから








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怪盗【桃】−fin.



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お久しぶりすぎる余談へ〜〜
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