ほっとらて【短編集】

冗談やって【橙】 ページ40

テーマ▶︎前髪を切ってくれる彼氏
リクエストありがとう!(´▽｀)
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『 えっ、ホンマにいいん？ 』

「 うん。ジェルくんにお願いしたい 」

『 いやでも、重要やろ？前髪って 』

「 うん。でもジェルくん器用でしょ？ 」




ゴミ箱を抱えて俺の前に座る愛しの彼女


唐突に言い出した「私の前髪切って」という言葉に俺はあからさまに動揺していた







いや、やって？ダメやろ


俺みたいなド素人にハサミなんて持たせちゃ




前髪命やろ？女の子って…







そんな考えが頭をグルグルと回りながらも、

自分の前にちょこんと座って少し濡らした前髪をコームでとかしながらニコニコしている彼女には敵わへん







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『 切りすぎても知らんで？怒らんといてな！？ 』

「 それはジェルくんの腕前によるでしょ！ 」




なんだろう、彼女と初めてキスした時ぐらい


いや、それ以上に緊張している





ハサミを持って、左手で彼女の前髪を持って少しずつ少しずつ切っていく









『 …これくらい？ 』



手鏡を彼女に渡す

彼女は自分の前髪を少し調整して、「んー？」と首を傾げた






「 もう少しかなぁ…でも、あんまり切りすぎないでね 」


その言葉にもう一度ハサミを入れて、サクッと前髪を切った




『 、あ 』

「 ん？ 」

『 あ、え、いや… 』

「 え？ 」



完全にやらかした




『 いや…すごい可愛くできたなぁと思って…w 』

「 鏡 」

『 いや…、いやぁ、？ 』

「 鏡！ 」

『 、はい、 』



彼女が鏡で自分の顔を見た後怖い目がこっちを向いた





『 …いや、違う違う！これはね、こうするためで 』



切りすぎて、空白のスペースとなった眉と前髪の間にキスをした








『 お、怒ってる？ 』

「 … 」

『 あぁーもうごめんって！ 』


もう一度彼女の額にキスをして彼女を抱きしめた







『 可愛いで？どんなAでも！ 』

「 怒ってないよ 」


そういう声はすごく怒っているように聞こえるで





「 怒ってないから顔見せて 」

彼女に言われるがまま抱いていた手を解いて彼女と向き合う




『 …んっ 』

彼女が俺の唇を奪う



「 キスはおでこじゃなくてここにするんだよ 」

『 っ…冗談やってw 分かっとるよ』


そう言って、照れ隠しも込みで彼女にキスをする






彼女は照れた表情を見せ、その後に「 もぉ！切りすぎ！ 」ととても自然に笑った





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冗談やって【橙】−fin.


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