及川徹の心の支え【及川徹】 (ページ23)

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試合番号が間近に迫ってきたから体育館へ降りて、ストレッチを始める

Aちゃんは青城の応援席に座ってもらってる

いつもどこかでみてるとは知っていたものの、いざ青城の応援席で応援してもらうとなると感慨深い

＿＿＿＿＿＿＿＿ただ１つのことを除いて。

「では今から及川徹の恋愛事情聴取をはじめまーす」

「拷問でしかないんだけど」

「んなこと言うなって」

「試合前だよ？集中した方がいいでしょ！？」

「Aさんがいなくていじけてた人に言われたくはないですね」

「国見ちゃんちょっと黙ろうか」

「やっぱ国見なんか知ってんの？」

「いえ、詳しくは。でも及川さんにとってすっごく大事な人ですもんね？」

普段無表情のくせにこういうときだけニヤニヤしてくる

ほかのメンバーからも興味津々といったように目を輝かせてみてくるから、ヤケクソになって言った

「あーもう、そうだよ！好きだよ！」

瞬間に沸き起こる拍手と歓声

全く意味がわからない

「で、いつから好きなわけ？」

「…小6くらいのとき」

「は！？そっからずっと！？」

「え、お前…超一途だったんだな」

「ごめん及川、おちゃらけてるとか言って。お前は立派な片想いマスターだっ」

「その言い方やめてくんない？すごい傷付くんだけど」

「…でも案外、片想いじゃないかもしれませんよ」

「え？国見ちゃん、それどういうこと？」

「Aさんと話したとき、すごく及川さんのこと考えて行動してたみたいなので」

そっか

Aちゃんが俺のことを考えてくれていた

そのことがきゅうっと胸を締め付ける

自然と上がってしまう口角

「しっかし、Aちゃんが来た瞬間にお前の不機嫌が直ったことにすぐ気づくべきだった」

「そしたらもっと早く及川がAちゃんのこと好きだってことが分かったのにな」

「それより及川さん、好きな人に座席から滑り落ちるっていうダサいところ見られてましたよね。大丈夫ですか？」

「金田一！ダサいっていうな！」

「すっ、すいません！」

「その点は大丈夫だ。すでに及川はもっと恥ずかしいことをAの前でしでかしてる」

「え？何やったの？」

「小6の時にAの目の前でズボン破けて尻が丸見えだったことがある」

「岩ちゃんっっっっっ！」