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第317話 ページ28

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〈でも、推測するにも限界がある。
現に君は、どうして僕が“予想外”と言ったのかがわかっていない〉

「‥‥‥‥」

〈どうする? 心を開いてみる?〉

「‥‥‥そしたら、教えてくれるって?」

〈知りたいことはなんでもね〉

「‥‥‥‥」


────ほんの少しだけ、隙間を開けてみる。

四鎌童子はにやりと笑い、────



────やめろ!!!


「!!」

開きかけた心の壁を、閉じた。
四鎌童子は〈‥‥‥くっそ〉と悔しそうに呟く。


「出ていけ」

〈‥‥‥‥〉

口許に緩やかな弧を描き、四鎌童子の姿は ふっと消えた。



どくん、どくん、と心臓が鳴っている。

────危なかった。
ぎゅっと目を瞑り、心を落ち着かせる。

どうかしていた。目先の欲望に判断を誤るなど。


───すると突然、足元の地面が割れた。
両足の間を走るその割れ目を辿った先には、必死の形相でその隙間を閉じようとする嵐。


「‥‥‥嵐!?」

〈お前‥‥‥ふざけんな〉

何が、と聞きかけた口を閉じる。十中八九、私がさっき四鎌童子に対して僅かながらも隙を見せたことだろう。

「ごめん。あんたの声で、正気に戻った」

〈油断するな。まだ奴は諦めてねぇ〉

姿が消えただけで、私の中への侵入は続いていたらしい。
割れ目から飛び出してきた鎖が、勢いよく嵐へと伸びる。彼はそれを煙管を投げつけて払い、〈‥‥‥くそが〉と悪態をついた。


「‥‥‥これ、いつから続いてるの」

〈お前があの部屋に入ったすぐ後からだ〉


私が中将と話している間も、ずっと彼は私を守ってくれていたらしい。

何かを訴えるようなあの刀の振動は、これのことを指していたのか。


「私は、‥‥‥私は、どうすればいい?」

〈俺に力を寄越せ〉


(欲望)を与える。
それはすなわち、中将のように自分の中の禁忌を犯せ、ということ。


「‥‥‥‥‥」


ふと冷静になってみて、気付く。

───これまでの一連が、もし、こいつの見せている幻覚だったら?

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夏向(プロフ) - 朝陽さん» こちらこそありがとうございます‥‥!!! (2022年10月2日 23時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてました!ありがとうございます! (2022年9月13日 23時) (レス) id: 2c0d85a97f (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - レモンはちみつさん» ありがとうございます!文章を褒めていただけると本当に嬉しくてすぐ調子乗ってしまいます(笑)気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 仁奈さん» ありがとうございます!更新が本当に遅くて申し訳ないです…。気長にお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
レモンはちみつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!一気読みしてしまいました。ワートリも終わセラも大好きなので嬉しいです!!書き方もすごく上手くて感情移入してしまいました、書き手として尊敬します!これからも頑張ってください!更新楽しみに待ってます! (2022年8月14日 22時) (レス) id: 95afc2042e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2018年4月2日 10時

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