第272話 ページ48
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風間さんの反論は全て的を射ていた。迅はどうしようもないくらい優しい人間で、全ての未来の責任を負おうとする。その責任という荷物を問答無用で奪い取ってしまう代表人物が嵐山だ。
「なあ百夜。おまえ、今俺達が言ってることが理屈とかそういうのじゃないってわかってるだろ」
諭すように言えば、膝の上でぎゅう、と拳を握った。それだけで答えは十分だった。
「俺達全員の安全の保障と引き換えに百夜の安全が蔑ろにされてることに腹立ててんだ」
「‥‥別に、死ぬわけじゃありません」
「何言ってんだ？ 兵器化されようとしてるって、それが成功したらおまえの自我はどうなるんだよ。そんなの死んだのと同じだろ」
それに、と言った時、風間さんが俺の前にすっと腕を伸ばして制する。ここからは俺が話す、ということだろう。大人しく引き下がって風間さんの言葉を待った。
「‥‥実験に失敗して死んだ被験体が、何人もいるらしいな？」
百夜は弾かれたように顔を上げて、は、と言った。それは、そのことを今初めて知ったという顔ではない。何で知っている、という顔だ。
彼女の表情からさっと血の気が引いて、「まさか」と震えた唇が動く。
「悪いな。だが、“こっち”にはトリオンという概念がない以上、その探知もできないだろう？」
「‥‥は、あ？ 何、してるんですか、ほんとにっ、‥‥そんな、無謀なこと」
彼女が眠っている24時間以上の間に、風間隊は研究施設の場所を探り当て隠密潜入していた。気配に敏感であっても、その姿が見えなければどうしようもない。
「鬼呪装備」を持った人間にさえ注意すれば潜入調査など風間隊にとっては朝飯前だし、専売特許だ。
百夜は脱力したようにソファーに凭れて、腕で目を覆った。信じられない、と呟く。
「実験の概要も、目的も、おまえの実験結果も、他の被験体の報告書も見た。人体実験そのものに関して、俺達はとやかく言わん。こちらにはこちらの事情も常識もあるだろう」
それが俺達にとって理解しがたいものであっても、否定してはならない。一瀬グレンは、百夜Aは、この世界の住人は、それを以って今を生きているのだ。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
