第254話 ページ26
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「‥‥
ぽつりと百夜が呟いた。それがどういう意味なのかを理解する前に、ぞく、とあの時感じた肌の粟立ちが全身に巡った。
思わず、すぐにでもトリガーを起動して抜刀できるようベッド上で片膝をついて身構えた。他の4人も同様に警戒するような体勢を取っている。
「‥‥あは、大丈夫ですよ。
彼女の足元から微かに風が巻き起こって、髪と軍服を揺らしている。その背後には黒い、黒い‥‥「何か」がいた。それは人の形にも見えて、異形の姿をした生き物にも見えた。ゆら、と動いたそれの中に若い男の姿が覗いた気がして、目を擦る。
「───
は、と声が漏れた。契約。鬼。理解が追いつかなさ過ぎて、すとんと身体から力が抜ける。本当に、意味がわからない。
「私たちが吸血鬼と戦うために使っている武器を、《鬼呪装備》と言います。鬼の呪い、ですね。鬼神を武器に練り込んで封じる呪法によってできています。その武器に封じられた鬼と契約して、初めて使用できます」
鬼とか呪法とか、創作物でしか聞いたことのないようなワードが彼女の口から紡がれる。黙り込んだ俺達を見て、百夜はへらりと笑った。「荒唐無稽ですよね。笑っていいですよ」
「‥‥いや、笑えねぇだろ」と出水が細い声で言った。「“こっち”の人たちにとって、おれらが使うトリガーこそ荒唐無稽だろ」
「それは、確かに。私は初めて使った時、笑っちゃったけど」
懐かしむように遠い目をした彼女はすぐにその色を引っ込めて、続けた。
「鬼と契約するには強靭な精神力が必要です。なので、簡単に契約することはできません。契約できたとしても、その後身体を乗っ取ろうとする攻撃に耐える必要があります」
「‥‥乗っ取る、ですか」
「そう。宿主の怒りや焦り、その他いろいろな欲望を食べて鬼は強くなる。だから欲望が暴走するとその分強くなって、制御できなければ意識を奪われて───周囲の人間を殺します」
「‥‥それが、一瀬グレンの言っていた“感情のコントロール”、か？」
はい、と百夜は頷いた。「‥‥あの時私は、怒りと殺意でいっぱいになって、それを鬼に食べられました。グレンがいなければ、高確率で風間さん達を殺していたと思います」
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
