第240話 ページ12
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「は？」
と、低い声が出る。この女は、今、何と言った。
信じたくない嫌な予感に喉が震える。すると、すぐ横で「はは」と乾いた笑い声がした。「お得意の拷問ってわけか。道理であいつが5日も顔見せねぇわけだ」
「あなたは黙っててください」
ぴしゃりと女が言った。おれは一瀬さんが言った言葉を反芻する。拷問。───拷問？
「‥‥なんで。なんでそうなるんだよ。なんでそんなことになってんだよ！？」
「あなた達は百夜大佐への人質です。同時に、彼女はあなた達への人質です」
クソだな、と太刀川さんが呟いた。彼女がおれ達を切り捨てられないように、おれ達が彼女を切り捨てられないことをわかっている。
ああこういうことか、と思った。弱いままの人間に待っているのは、服従と搾取。そしてそれに抗うことができなければ、味を占めた強者にひたすら踏みにじられるだけの人生が待っているというわけだ。
わかりやすい世界の構図だ。これまでの遠征で見てきた近界と同じ、強い者が上に立って弱い者は従うのみ。
『使うだけ使い倒して、壊れたら捨てるだけのことだ』
あの言葉は嘘ではなく、今まで柊暮人がしてきたことだ。そして今回も、Aがおれ達にとって有効な人質でないとわかったら彼女を捨てるのだろう。あれだけの力を持った彼女も、柊暮人にはかなわない。
この組織のトップは、この壁の中の───下手したら、この国の全てをそうやって従えているのかもしれない。それがあの男の生き方なのだ。否定はしない。肯定もしないが。ただおれは、許せないだけだ。
「‥‥わかった。連れていけ」
風間さんが腹を括ったように言う。どちらにしろ行くしかないのだ、とおれはトリガーを起動して生身だけを換装する。おそらく他の4人はずっと戦闘体だったはずだ。
あの時トリガー以外で破壊された時は混乱したが、結局状況は緊急脱出のない遠征中と同じだ。そんな環境は慣れている。
「なぜあなたも来るんですか？」
「一応護衛しろってのがAの命令だからな」
「ではその命令は破棄します」
「おまえは俺の上官じゃねえだろ。それともなんだ、暮人にそうしろって言われたのか？」
「‥‥ああ言えばこう言いますね、あなたは。昔からそう」
「どうでもいい。昔話しに来たんじゃねぇだろ」
女はやや眉間に皺を寄せたが、それ以上は何も言わず踵を返した。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
