第199話 ページ10
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結果的には、私が勝った。
グレンもここ数年で腕をあげたらしく前のようにはいかなかったけれど、太刀川さん達との訓練が思いの外生きている。
「ふふ、どーよ」
「バケモノ」
「誉め言葉だよねそれ」
「どうだろうな」
つくづくグレンは遠慮というものを知らない。まぁ、「家族」だからそんなもの必要ないのかもしれないけど。
「‥‥で？ おまえは、今まで何してたのか俺には話さねぇつもりか」
「あは〜」
「笑って誤魔化すな」
中将から聞いてるでしょ、と言ってみると、「大雑把にしか聞いてない」と。まあそうだろう。あの人は懇切丁寧に解説はしない。
「俺はAが死んだと思ってた」
「ま そりゃそうよね」
「当然だろ。吸血鬼に捕らわれて音沙汰なし。おまけにお前は指揮官やってたところも見られてる。情報吐かせるだけ吐かして殺すのが奴等のやり方だ」
「どうやらそこまで頭はよくなかったみたいだけど」
下っ端隊員を演じて、結局ばれなかったのだから。
「で、何してたんだ」
低い声。
ああ、これは真剣な時だ。
今まで何度も同じようなことがあった。グレンは素直じゃないけれど家族思いの人間だ。私のこともきっと心配してくれていたのだろう。
「‥‥グレンに似てる人に、拾われた。
私はその人に何度も助けてもらったし、お世話になった。
今では大事な“家族”よ。勿論、そこで会った他の人たちもね」
「なるほど、鬼につけ込まれる隙が増えただけか」
「性格悪い言い方」
だが、ある意味では合っている。一方で、守るものが増えれば増えるほど、生きる欲望が増える。
“今のお前は空っぽだ。
奴と同じ道を辿りたくないのなら、まずはとにかく
「‥‥ねぇグレン。今の私は、空っぽかな」
「不安か？」
「別に。ただ、気になっただけ。私は、あの人と比べてちょっとはマシなのかって」
すると突然、ぐしゃぐしゃと髪を撫でられる。「‥‥う、わ、」と、かなり素で声が出た。
「どうだろうな。人間、早々簡単にどんな奴かはわからんだろ。
ただ一つ言えるのは、お前はいつ自分で引き金を引いてもおかしくない。何かを守るためなら自ら進んで犠牲になる。百夜Aはそういう人間だってことは知ってる」
聞こえはいい。でも、言葉を変えれば、“歪んでいる”。
理由はどうあれ、やはり私は、あの人と同じなのかもしれない。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
