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第223話 ページ43

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おれたちがここに来て、1週間ほど経った頃。
「尋問待ったなし」ということだったのだが、ここまで何もなく、正直なところ油断していた。


[伝令、百夜A大佐、渋谷本部一号執務室まで参考人を連れて出頭しなさい。繰り返します、‥‥]

だが、突如かかったその放送に、空気は一気に張り詰めた。


A溜息を1つついて、制服の上着を着ながら「生身だけ換装しといてください」と指示した。刀を腰に差して武装しており、太刀川さん達と顔を見合わせた。

「詳しい説明は車でします。とりあえず防衛壁の外まで行くのでついてきてください」



壁を出ると、一瀬さんが車のそばに立って待っていた。Aは「あんたも来るの?」と聞くが、「なわけねぇだろ」と一蹴する。「移動手段用意してやったから感謝しろ」

「これその辺にあったの修理しただけでしょ? 軍用車がいい」

「たかだか出頭のためだけにそんなの出せるか」

「こんだけの人数乗るんだけどな〜」

まあいいや、とAは運転席に乗り込んだ。「1人は助手席、後は全員後部席に乗ってください」

「え、百夜が運転すんの?」

「そうですよ。快適さは保証しませんが。
時間ないので言いたいことは移動中で」



快適さは保証しない、というほど荒い運転ではなかった。それよりも気になることが1つ。「お前免許は?」

「持ってないよ」

「いやでも、運転してんじゃん」

「車の運転は軍の基礎教養だから」

「無免許運転かよ‥‥」

「それは法律があることが前提でしょ」

それは世界崩壊を改めて突きつけられるような発言で、言葉に詰まった。そうしているうちに、彼女は説明を始めた。

「今向かってるのは第一執務室、軍において2番目に様々な権限を持つ人間のところです。冷酷無慈悲、血も涙もなくて仲間を平気で生け贄にするような人なので発言には十分注意してください」

「2番ってことは、1番がいるんだな?」

「いますよ。軍を統べる《柊家》総帥、柊天利。こちらはほとんど表に出ませんがね。ちなみに会いに行くのは柊暮人中将です。
着いたら、余計なことは一言も話さないでください。できるだけ私1人で終わらせます。
万が一質問されても嘘はつかないでください。下手に誤魔化しても意味ないので。あと表情もあまり変えないようにお願いしますね」

Aにここまで言わせるほど、「柊暮人」は危険な人物なのか。
言いようもない不安感と、緊張感が車内を満たした。

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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます!6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください! (2023年2月11日 0時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました!6のパスワード教えて欲しいです! (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2017年9月7日 19時

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