第193話 ページ4
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「‥‥はぁ」
一号執務室の扉を後ろ手で閉めながら息を吐き出す。
中将に、戻った報告と4年間何をしていたのかを、ボーダーのことを上手く伏せながら説明した。にわかには信じがたい話だろうが、存外あっさり解放された。この辺でも何度か門は発生していたらしくそれが話の信用性を補強したのだろう。調査のため門発生装置は取り上げられた。
部屋は夕方までに用意できるらしいので、それまで資料室に籠り、ここ4年間の記録を読み漁ることにした。
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一番の重大事件は、「吸血鬼との名古屋での戦いで《終わりのセラフ》の兵器化に成功した」ことだった。
被験体の名前を見て、君月くんの妹か、とすぐに察しがつく。
《黒鬼》持ちは、全員何らかの実験の被験体である。そして、優も与一くんも君月くんも、《黒鬼》を持っている。
さらに情報部から完全消去された3人の過去。サングィネムから逃げ出した優を拾ったのは、グレン。3人に《黒鬼》を与えたのは、グレン。そしてチームを組ませたのも、グレン。
ここまで状況が出揃っていれば自ずと出てくる答えはひとつだろう。
(‥‥反乱、かなぁ)
グレンは、軍上層部と揉めるきっかけとなる
「‥‥私はどうすべきかな」
ファイルをぱたんと閉じ、考える。どう動くのが懸命か？ 誰を味方と見るべきか？ 身の振り方を考え直さなくては、死ぬ。
〈懲りない人間め〉
「人の欲望は際限ないからねぇ。何かを手に入れると、それ以上のものがほしくなる」
〈やっぱり人間は醜いな〉
「はは。あんたも元を辿れば人間でしょうに」
世界中の吸血鬼が、これをきっかけにして日本に集まるだろう。もしかしたら今も、奴らは来ているのかもしれない。それはきっと、戦争の足音だ。
「‥‥‥“大地は腐る。魔物が徘徊する。空から毒が降る。終わりの
私の中に「眠る」
「‥‥‥ばかだなぁ私」
こんなの思い出したって、なににもならないことはわかってるのに。いつまで私はこの記憶に囚われるのだろうか。
勢いよく椅子から立ち上がると、ぎしりと鈍い音をたてる。資料室のドアを閉める音は、何もない廊下によく響いた。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
