冗談と本気(宮治) ページ31
私はよく、立ち入り禁止の屋上へ続く階段で涙を流している。原因は好きな人。
私の好きな人はバレー部の宮侑。私は彼が好きでバレー部のマネージャーにもなった。けれど想いを伝えられず2年生になり彼は、学年クラス関係なく人気者になってしまい、私には手の届かない存在になりつつあった。
「またここで泣いてたんか」
そう言って階段を上ってきたのは宮治だった。
彼は私が侑のことを好きなのも知っていて、そのうえ私がここによくいることも知っている。
彼は良き理解者で、最高の相談相手。
『治はいつも見つけてくれるね』
「そら、Aに用あんのに教室おらんからな」
『それはごめん』
治は私の隣に腰掛ける。
私は治の言葉に無理やり笑って返した。
「俺こそ毎回邪魔してすまんな」
『ううん、ええねん。それで用事って何?部活の話?』
「いや、教科書。次現代文やねんけどロッカーに無くてな」
『そんなん侑に借りればええやん』
「ツムのは落書きばっかでまともに読めんわ」
そう言われて私は侑の落書きばかりの教科書を想像した。
『確かに読めんな』
「せやろ、やからAのやねん」
『わかった、あとで貸したるわ』
そう言って私は流していた涙を拭いた。
「今日はどないしたん?」
『侑が女の子と仲良さげにして頭撫でたの見てたら辛くなっちゃって。それだけ』
「ほーん…」
治は興味無さそうに返事をした。
まあいつもの事だから私も別に気にしない。なんなら聞いてくれているだけ有難い。
「あんなやつ、やめときや」
治は私の話を聞くといつもこう言う。
いつも勝手に傷ついて泣いているだけなのに、治は侑が悪いと思っているんだろう。
『……やめた方がいいのかな』
今日の私は珍しく弱気なことを言った。
いつもは『でもやめません!』なんて、強く言うのに。
「やめとき。あんなんよりもっと幸せにしてくれるええ奴おるって」
『え〜、そんなのどこにおんねん』
治の言葉に思わず笑みをこぼした。
そして黙ってしまった治の方を向く。
「俺とか、どや?」
治は頬を紅く染めながらそう言った。
私は一瞬理解出来なかった。
やっとの思いで理解し飲み込むと、治は立ち上がった。
「やっぱ今の冗談ってことで」
そう言って階段を数段降りた。
『冗談…なの?』
私の言葉に治は足を止めた。
「本気やったら好きになってくれるんか」
『……ゆっくりでも、ええんやったら…』
「ん…ええで」
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時