20話 ページ20
＊
｢こんにちは、お嬢さん。｣
泣き止まない女の子にかかりきりだった爆豪は背後から近づいてくるAに気付いておらず、掛けられた声にバッと勢いよく振り返る。そこにいたのは爆豪と同じ雄英の制服を着た男子生徒がいた。人に頼らずとも自分一人で何でも出来ると思っている爆豪だったがこの時ばかりは助けが来たと思った。それほどまでに女の子は泣き止んでくれなかったのだ。
突然増えた男子生徒に女の子は驚いてAのほうを見る。
｢おれの名前はA。雄英高校の2年生だよ。｣
Aは腰を折って女の子と目線を合わせた。そして自分の名前と所属を告げて安全な者だと女の子に伝える。爆豪はその様子を黙って見ていた。
｢この人はカツキくん。おれと同じ、雄英高校の1年生。もしよかったら、君の名前をおれたちに教えてくれないかな？｣
ぐい、とAは女の子から目を逸らさずに立っていた爆豪の腕を引っ張ってしゃがませた。突然のことに爆豪は怒鳴りかけたが女の子の手前、そんなことは出来ずに空気を読んだ。女の子がほんとう？と言いたげに爆豪をおそるおそる見てきたため爆豪は頷いて見せる。なんでこの男子生徒は自分の名前を知っているのかと思ったが爆豪は我慢した。
優しそうな微笑みを浮かべるAに女の子はしゃっくりを上げながら言葉を紡いだ。
｢サクラ…わたし、サクラ。｣
｢サクラちゃんか、可愛い名前だね。サクラちゃんはどうしてここで泣いているの？｣
｢サクラね、お母さんと公園に行ってね、それで、ブランコとかすべりだいとかあと、おすなのおしろをつくってたの。ネコちゃんがきて、走って行っちゃったからおいかけたら、…お母さんがいなくなっちゃったの！｣
わたし、いっぱいお母さんって呼んだのにお母さんがいないの。悲しくなっちゃって、それでね、と引っ込み始めていた涙がまた出てきそうになったのを察知してAは｢教えてくれてありがとう。｣の女の子の頭を撫でた。女の子は迷子だった。どれだけ歩いたのか聞いても分からないだろう。Aは両手を開いてえぐえぐと泣きながら抱っこをせがんできた女の子を受け入れて立ち上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑猫(プロフ) - 月さん» お聞きくださりありがとうございます！続編は49話まで解禁したら公開しようと思っているのでもう暫くお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年5月12日 21時) (
レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
月 - すみません、続編にパスワードがかかっているのですが、パスワードはなんですか、、? (2019年5月12日 21時) (レス) id: 43155a1990 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 竹薮さん» コメントありがとうございます！anotherは実録なので同じような人が身近にいたんですね(笑) わーー！サンライズ好きですか！！！？めちゃめちゃ嬉しいです！！！更新頑張ります！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - アクトS18さん» コメントありがとうございます！刺さったようで嬉しいです(笑) 頑張ります！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
竹薮(プロフ) - LINEであけおめことよろとか言っている人いて思わず笑いました(笑)サンライズ好きです、更新頑張ってください、応援してます。 (2019年5月1日 11時) (レス) id: 27e37010d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緑猫 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...
作成日時：2019年3月31日 9時
