7話 ページ7
「Aちゃん、皆帰ったよ｣
廊下に蹲る私の頭にそっと大きな手が触れる。
無理させちゃったね、と眉を下げるガッチさんを見るのが辛くて、涙を隠すようにまた下を向いた。
「ごめん、なさい」
「もー、なんでAちゃんが謝るの。よしよし｣
ガッチさんが私を抱きしめる。
涙やファンデーションで服が汚れるから少し離れようとすると気にしなくていいと言うようにほんの少し力が強くなった。
その優しさに結局耐えきれず子供のように泣いてしまった。
「撮影、邪魔して…見つけてくれた、人の、手払っちゃって…ガッチさんの、お友達なのに、ごめん…｣
「うん、でも今日頑張ったじゃん。ね？実況も無事終わったし、レトさんにトイレ教えてあげたんでしょ？すごいじゃん｣
ちがう、ちがうんだよガッチさん。
私がいるからこんなことになったんだ。
そもそも私がこんなに弱くなかったら、廊下の電気もトイレの場所も優しく教えれたはずなんだよ。
「大丈夫、皆分かってくれたよ。ごめんね無理させて。｣
謝らないでよ。私が悪いんだよ。
ガッチさんに出会った頃はあんなにも迷惑のかからないようにと思っていたのに。
いつのまにか彼の優しさに甘える事に慣れてしまって、こうして彼を困らせている。
このままだと、ガッチさんに嫌われる未来はそう遠くない。
「明日は断っておくから…って、わ！なになに！｣
私の為に彼らに連絡しようとするガッチさん。
私はガッチさんの手を引っ張り、彼から携帯を取って送信される予定だった文字を消していく。
「ど、どうしたの？」
「……」
明日の予定を断ったって何の解決にもならない。
いつまでもガッチさんに甘えていられない。
私のせいで、ガッチさんが実況できないなんて。
「そんなの、絶対だめ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シノノメ。(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» 返信遅くなりました申し訳ありません！！他の作品も呼んでくださったのですね！！ありがとうございますわああああああああ！！がんばりまああああす！！！ (2022年11月21日 15時) (
レス) id: 013d671d7d (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - ぶっ通しで読んじゃいました、、他の作品もこの作品も本当最高だ.....これからも超応援してます！！！！！！好きだああああああああ！！！(煩) (2022年10月31日 6時) (レス) @page40 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ういろさん» ハッピーエンドに出来て良かったです！こちらの作品も読んでくださったのですね！ありがとうございます( ´•̥ו̥` ) (2022年9月28日 3時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ういろ(プロフ) - 主人公の女の子が幸せになれてよかった(´；ω；｀)泣いちゃいました！！ (2022年9月28日 2時) (レス) @page40 id: c9d9bd71e7 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - 澪さん» 最後まで！本当にありがとうございます( ;ᯅ; )他の作品も頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2022年9月26日 22時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年7月6日 2時
