32話 ページ32
「飲める？ごめんね、おれの家連れてきちゃって｣
「ううん、ありがとう」
レトさんがアイスティーを入れてくれた。
口の傷を気遣って、ストローまで用意して。
その優しさが痛いほど心に染みた。
本当はレトさんに会う気なんてなかったし、こんな姿見られたくなかった。
でも気がついたら一直線に電話していた。
声を聞かなきゃ、会わなきゃどうにかなりそうだったから。
「ごめん、迷惑かけて」
「ううん、会えてよかった」
何があったか話せる？と彼は言う。
あなたはどこまで優しいんだとまた涙が溢れそうになって、我慢できずに私の過去を彼に話した。
ガッチさんにも言ったことのないあいつの話、私のトラウマ。
その男とこの街で出会ってしまったこと、無理矢理襲われそうになったことも。
それらを話終わったあと、レトさんをみるとぐっと唇をかみ締めていて、その表情は今までの彼からは想像できない程の怒りにみちていた。
私が驚いていると、我に返ったように怖いよねごめんねと謝った。
そっと私の手を握り、真剣な顔で私の目を見つめる。
「俺、Aちゃんを守りたい。Aちゃんの為ならなんでもする。だから、もう1人で悩まないで」
「でも、そんな…迷惑じゃ｣
「…好きな女の子の事、守れないなんてかっこ悪いじゃない」
「え？」
ふわりと微笑んで私をもう一度優しく抱きしめた。
聞き間違いじゃないなら、レトさんは私を好きだと言った。現実なのかと恐る恐る彼の背中に手を回すとギュッと抱きしめる力が強くなった。
私の心の蟠りがするするととけていく。
この人なら大丈夫だと心が叫んでいる。
私はこの日、生まれて初めて正真正銘の恋をしたのだと思った。
.
.
――――――――――――――――
「ふふ、可愛い…」
私の横で眠る彼の頭を撫でる。
そして、ごめんね、と柔らかな頬にキスを落とした。
「ありがとう、私に好きになってくれて｣
不器用に貼られた湿布をお守りに私は彼の家を出た。
メンソールの匂いに紛れて彼の香りが鼻をくすぐると、
ああ、離れたくないなあ。
ずっとこのままレトさんと一緒にいたいなあ。
と引き返したくなる。
でも、行かなきゃ。私が1人でやらなきゃ。
この人を、大切な人たちを守らなきゃ。
あなたに全てを話す事が出来なかった私をどうか許して。
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シノノメ。(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» 返信遅くなりました申し訳ありません！！他の作品も呼んでくださったのですね！！ありがとうございますわああああああああ！！がんばりまああああす！！！ (2022年11月21日 15時) (
レス) id: 013d671d7d (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - ぶっ通しで読んじゃいました、、他の作品もこの作品も本当最高だ.....これからも超応援してます！！！！！！好きだああああああああ！！！(煩) (2022年10月31日 6時) (レス) @page40 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ういろさん» ハッピーエンドに出来て良かったです！こちらの作品も読んでくださったのですね！ありがとうございます( ´•̥ו̥` ) (2022年9月28日 3時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ういろ(プロフ) - 主人公の女の子が幸せになれてよかった(´；ω；｀)泣いちゃいました！！ (2022年9月28日 2時) (レス) @page40 id: c9d9bd71e7 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - 澪さん» 最後まで！本当にありがとうございます( ;ᯅ; )他の作品も頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2022年9月26日 22時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年7月6日 2時
