5 ページ5
・
その帰り、そさくさと帰っていく小芭内の後ろ姿を必死に追いかけて腕を掴んだ。
「ちょっと、小芭内!?」
「なんだ」
眉毛の間に跡つきそうなぐらい皺よってるけど大丈夫かな。
「なんで避けてんのって聞きに来た」
小芭内は片手でを覆ってから、大きくため息をついた。
「…A、介錯を頼めるか」
「は?」
「俺は腹を切って死ぬつもりだ」
「待って何言ってんの?」
その前にかいしゃくってなに。
漢字どう書くの。
解釈?灰錫?それとも界尺かな。
頭の上にぽこぽことハテナを浮かべ続ける私を、呆れなのか怒りなのかわからない表情で見下ろす。
こいつ信じられない、頭がおかしいんじゃないか、って顔に書いてあるんだか?至って正常よ?
彼はいつものように長々ねちねちと話し始めた。
「もしかしてお前の中には殺意とか希死念慮とかいう類の概念が存在しないのか……?初めてを、こんな木炭の削りカスのような男に……。可哀想にも程がある。刀を握れ、そして俺を斬れ、できるだけ早くな」
「まってどうしたの?」
そして木炭の削りカスと小芭内の共通点どこ。イメージカラー黒いだけじゃん。
「早く帰れ、次に終電を逃しても断じて泊めてなどやらんからな」
「いや、今日は義勇とご飯いくから」
「冨岡と2人で飯が食えるなんてもはや尊敬に値するまである。じゃあな、せいぜい冨岡とお楽しみにでもなれ」
なんっっっなのあいつ!!
閉まるタクシーのドアに向かって思いっきり叫んだ。道の真ん中なのに。
「義勇はめっっっちゃかわいいんだからね!?」
ちっちゃい男の子が振り返って、「なにあの人…」とか言っているのをその母親らしき人が「こら、やめなさい」と小声で叱っていた。
これは小芭内のせい。
・
693人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時