検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:1,160 hit

ききまちがい ページ9

ある日、私は街角で占い師の老人に出会った。

その占い師はその人がいつ、どんな死に方をするのかを占うと言うのだ。私は興味本位で自分の死因を聞いてみることにした。

すると老人は禍々しい手つきで何やら魔具を弄り、ブツブツと呪文のような言葉を唱え始めた。

そして、か細くしわがれた声で二言ぼそりと呟いた。どうやら私は三年後の七月七日に溺れて死ぬらしい。その時の私はその事を本気にしておらず、大して気にもしていなかった──。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


月日は流れ、私が死ぬとされる日がやって来た。さして気にしていなかった私だが、改めて意識し始めると途端に不安が募り始めた。一応念の為、万が一ということもあるし、何もしないよりはマシだろうと考えて、私はあらゆる可能性を考慮し、対策を講じることにした。

その日は一切の飲み物を口に入れず(水分は果汁多めの果物を取ることにした)、風呂に入らないのはもちろんのこと、水場の近くには近づかないようにした。恐れるべきは「液体」で、それ以外で死ぬことはない。まあこれもその占いが当たっていると言う前提なんだけど⋯⋯。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


私は今、家の外に出て、歩いて移動している。

本当は外を出歩くのは危険なのだが、どうしても外せない用事ができてしまっていた。

命には変えられないと思うだろうが、生き延びるのを仮定するのであれば外すことはできない、そんな用事であった。

でも実際はどうなのだろうか? 向かう先の近くに川があるが、近づくつもりは毛頭ない。車に乗る予定もないから、運転手が突然気絶して、制御不能になり川に突っ込む、なんて事もない。車に轢かれて吹っ飛んだ先が川だった、とかの方がまだ可能性としてありそうだ。もっともその場合、死因は別になりそうだが。


⋯⋯ん?


まてよ⋯⋯⋯⋯そうか、やばい! その可能性があった! やっぱり外に出るんじゃなかった。

ききまちがい 解説→←キノコ 解説



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:稲穂 | 作成日時:2021年4月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。