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貧乏ゆすり ページ37

つい最近の話。

バイトの帰りが遅くなって、終電無くしちゃったから仕方なく近所の24時間やってるファミレスに入ったんだ。


そしたらさ、近くの席に座ってる女がすごい貧乏ゆすりしてるのが目に入って、

最初は気にしないで、本読んでたんだけど、1度気づいちゃうとなんか意識しちゃってさ、


その女のこともう1回見てみたら、
結構かわいいけど暗い感じの女で、彼氏(?)と向かい合わせで二人で座ってたんだ。

それが彼氏は笑顔で語りかけてんのに、彼女の反応がすごい薄いの。

声は聞こえないんだけど、彼氏が喋ったことに対して

多分「うん」とか「はい」くらいの反応しかしてない。

そのうち彼氏はつまんなそうにタバコ吸いだして、

女は灰皿じっと見て貧乏ゆすりしてんの。

(そんなに嫌なら帰ればいいのにな。てか別れればいいのに。)

とか思いながら見てたら、貧乏ゆすりにリズムがあることに気づいた。

タタタ。タンタンタン。タタタ。タタタ。タンタンタン。タタタ。

(うわ〜リズムまで刻んじゃってるよ。
完全に心ここにあらずだよ。
そんなにつまんねえのかその彼氏は。)

その女ずっと貧乏ゆすりしてるのに、彼氏全く気づいてないんだよね。
(そろそろ彼女イライラしてんの気付けよ!そんな鈍感だから嫌われんだよ!)

とか思ったりしてね。

そしたら彼氏がタバコ吸い終わって立ち上がって、女の手引っ張って帰っていった。

(別れ話でもしてんのかなーって思ってたんだけどさ、一緒に帰るんだな。
不思議だなぁ。よく分かんないカップルだ。)

俺がずっと見てたの気づいてたのか、


レジで会計してる時一瞬女ににらまれた。目が合ってしまったから俺は軽く会釈しておいた。

(まぁ、こんな風に見知らぬカップル凝視してる俺なんかより

どんなに嫌われてても彼女いる奴の方が、結果勝ち組だよなぁ。)

とか思いつつ、俺は朝までファミレスにいた。

貧乏ゆすり 解説→←呪いの書 解説



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作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:稲穂 | 作成日時:2021年4月8日 15時

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