鯉登専務！職権乱用はいけません！ (ページ1)

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第1話ページ1

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皆さんはじめまして

わたくし、右代(うしろ)Aと申します。

大手企業の営業1課に配属され、所謂出世コースを脇目も振らずズンドコズンドコ突き進んできたわけですが…

5年目にして、最大のピンチに見舞われております

「貴様が右代Aか」

朝のホットミルクティータイムを楽しんでいた私を見下ろすのは、先日海外赴任から戻ってきたばかりの鯉登音之進専務だ

代表取締役会長、鯉登平二のご令息でありCEO
将来を約束されたも同然、眉目秀麗、向かう所敵なし

天上人が私の様な平社員になんの用があるというのか

『は、はい、そうですが…』

私…なんかやらかしたっけ

まったく心当たりが無……

いや、待てよ？

去年の忘年会で入社3年目の有古に無理矢理ブラッ〇スのハカをさせたことがセクハラだって申告されたとか…！？

いや、この間の新年会で谷垣に女装させたこと！？

でもその時は、私と尾形と宇佐美の同期3人組でマンバギャルのコスプレしてパラパラ踊ったし痛み分けじゃない！？

それとも、和田本部長のお茶だけセンブリ茶にすり替えて悶え苦しむ姿を見て鶴見部長とクスクスしたこと！？

いやそんなことで怒鳴りつけるためにわざわざ鯉登専務が来るわけない…

というか思い返せば怒られる筋合いしかないんだけどぉ…

恐る恐る専務の顔を見上げると、彼は唇の両端をくいっと上げた

ち、近い…

専務の麗しいご尊顔が息がかかる程近い
切れ長で涼し気な目元と、中の真っ黒い球体には困惑した私が映る

ふんわりと優しく鼻腔を掠める高級感のある香りに、心臓の音が速まるのを感じた

悔しいけど、かっこいい…かも

しかしそんな私の淡いトキメキは、専務のひと言で一瞬にして跡形もなく消えてしまう

「私の秘書にしてやる！喜べ右代A！！」

『は？』