第三話 脅迫 ページ10
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最大の悩みだった寮生活も、蓋を開けてみれば案外大したことではなく、准尉という位だからか一人部屋を与えられ、難なく過ごすことが出来た
山に篭もる演習訓練や射撃訓練に駆り出された時は
正直寒いし辛いしキツすぎて何度も脱走しかけたけど、持ち前の体力と元気さで乗り切れた
そして、私が寧一郎として、この旭川に来てからもうすぐ１ヶ月が過ぎようとしていた
「准尉、これから一緒に飲みに行きませんか？」
そう声をかけたのは、二階堂兄弟
出会った頃からやたらと懐かれていたから、きっと寧一郎を慕っていたのだろう
にこにこ笑って駆け寄ってくる2人はとっても可愛い
結構生意気だけど
それより…
今飲みって言った！？
もちろんOKだよ！
この１ヶ月一滴も飲んでないんだよ？行くに決まってる
『もちろん行…』
「あーだめだめ、准尉は下戸なんだよ。知らないのかぁ？
以前飲ませたら女のように顔を赤らめて千鳥足になっておったぞ」
今なんて言った？
こいつは確か、玉井伍長といったっけ
私こいつ気に食わないのよね…
私(寧一郎)より階級が下のくせに馬鹿にした発言が多くて耳障りだ
これは完全に侮辱だ
「え、そうなんですか？」
「訓練中ずっと酒が飲みたいって言ってたからてっきり…」
あぁ、そうか
長い間会えなかったから知らなかった
寧一郎は私と違ってお酒は飲めない体質なのね
そうと分かれば私も人目があるうちは酒を口にしない方がいいだろう
寧一郎の残した人物像を崩さないためにも、設定は守らないといけない…けど
どうしても、どうしても…
飲みたいっっ…！！
『玉井、きさま何を言ってるんだ？
私は酒が浴びるほど好きだぞ』
あれ、ちょっとまって
なに海賊みたいなこと言ってんだ私
玉井なんていつも相手にしていなかったのに
さすがに酒への思い強すぎ？
そう思った時には遅く、玉井は丸い目を更にかっぴらいて固まっていた
奥に座っていた尾形がプッと吹き出す
他の隊員たちから向けられる目が怖い
全員、信じられない！というような目で見てくるんだから
しかし一体なんなのだろう、この爽快感は
いやそんなこと考えてる場合か
「なーんだ、それなら問題ないですねー！んじゃ行きますか」
浩平は私の背中をグイグイと押して出口へ向かう
「他に行く人います？あ、谷垣は来いよ！」
「えっ俺も！？」
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
