第十話 造反者 ページ40
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『結局逃げられたな…』
「…はい」
寒さとシャチの恐ろしさにぶるぶる震える私の腕は、月島の逞しい腕を離せないでいた
杉元にも逃げられ、他の兵士も意気消沈している
『そういえば鶴見中尉は？』
さっきから姿が見えない
今日1日私から離れなかったくせに
「先程いた邸の方に戻りましたよ」
『ふーん…』
「准尉、冷えますのでコートの前をしっかり留めてください」
月島の指がコートのボタンに触れる
海の方へ目をやれば、もう陽が沈みかけていた
これから兵舎に帰るのかな、私の休日完全に潰れちゃったな…
『月島ぁ〜お腹減った』
「そうですね、中尉が戻ってきたらなにか…「北里准尉！月島軍曹！」
月島の言葉を遮ったのは
息を切らし、慌てた様子の兵士だった
こちらに駆け寄り、敬礼すると
「尾形百之助上等兵が病院から消えました、
鶴見中尉はすぐに出発するとのことです！早くこちらへ！」
そう言った
『なに…？』
「准尉、行きましょう」
月島が私の腕を引く
『なんで…』
今度はなんで？
どうしてまた何も言わずにいなくなるの？
この間の言葉を思い出す
“俺と一緒に来るか？”
あれはこういう意味だったんだ
尾形は本当に脱走するつもりだったのか
「今すぐ小樽へ帰る、准尉も着いてきなさい」
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
