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尾形が小刀を取り出し、サラシに宛がう
スゥ…と撫でるだけで表面の布はハラリと切れてしまった
『ンー！！ン゛ン゛！』
いくら暴れても尾形はビクともしない
重くて、力強くて…こんなの勝てっこない
やだ…イヤだ！こんな男に辱められるなら死んだ方がマシだ！
「いつまで生意気な態度でいられるか試してやるよ」
カチャカチャと、不吉な金属音がする
尾形が私のズボンのベルトを外し始めたのだ
『ンンン！？』
腰元の布の緩んだ感覚に絶望し
もうダメだ…
そう思ってギュッと目を瞑った途端、尾形の手が止まった
「…辞めてほしいか？」
『っ…！？』
コクコク、と精一杯首を縦に振る
こんな奴に懇願なんてしたくないけど、助かるならもうなんでもいい
必死な私に、尾形は恍惚に満ちた表情を浮かべた
顎を掴まれ、無理矢理視線を合わされる
「どんな事情があんのか知らねえが…誰にも言わないでやる、その代わりいざとなったら俺の言う通りに動け、それだけでいい。」
尾形の言いなりに？
いざとなったら…？
どんな理不尽な条件を出されるかと思えば、曖昧な提案に拍子抜けした
顎を下に引かれ、口を開かされ、
口の中に詰められていた布を取り除かれる
「条件を呑むのか呑まねえのか、どっちだ。早く答えろ。」
『わ、わかった！！約束する！』
「ふん、」
顎から手が離れ、痛みから解放される
「てめえ、襲われそうになったのに涙ひとつも見せねえのか？本当に女か？」
つまらん、と尾形がこぼす
はあ！？
あんたがそれ言う！？
と口に出そうになったがグッと堪えた
この男の機嫌を損ねれば次こそ全身ひん剥かれそうだ
危ない危ない…
『…』
「…ふん、くれぐれも気をつけるこったな」
黙ったままの私を見下ろし、尾形は部屋から出て行った
辺りには、先程の揉み合いが嘘のように静寂が訪れる
まるで嵐が去った後のようだ
『と…りあえず助かった…？』
ほっと胸を撫で下ろす
胸に当てた自らの手がカタカタと震えてる
寒さからくる震えではないことはわかる
こんなに危険な目にあったのは初めてだったから腰が抜けたみたい
手先は震えてうまくシャツが着れない
ボタンは所々取れてるし…
すごく力も強かった
本気を出せば私なんてポキリと折られてしまうだろう
この男だらけの環境が如何に危険か
改めて思い知らされた
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
