騙し合いの果て、偽りの愛[カラ松] (ページ7)

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嘘ページ7

私がぼーっとしていると、十四松が話しかけてきた。

「ん？どうかしたの？」
「Aってなんでこの施設に来たのー？」

どきん、と心臓が跳ねる音がした。

「十四松…ごめん。その話はまた今度でもいい？」

十四松には私の話を聞こうという気は無いのだろうか。

「僕んちはねー、お父さんとお母さんがいなくなっちゃったんだー！そしたら施設の人が来て、ここに入ったんだよ」
「そう、なんだ…」
「ねえねえ、Aはどうして？」
「十四松、だから…」
「もしかして…

殺されちゃったの？」

その言葉で、周りの空気が凍りついた。

あの光景が脳裏に浮かぶ。めまいがして、吐き気がする。十四松の顔が歪んで…あいつに見えた。

あいつが、あいつが殺したんだ。憎い憎い憎い！

私は、気づくと近くにあったハサミを手に取っていた。

シュッ、と音がして、十四松の頬を、赤い雫が伝う。

「え───？」

一部始終を見ていた先生が慌ててこちらへ来る。

「十四松くん、大丈夫！？」

十四松が大声で泣き出す。先生が私の持っていたハサミを取り上げ、ガシッと肩を掴む。

「どうしてあんなことしたの！！後少しずれていたら十四松くんは失明していたわよ！！」

話が全然頭に入ってこない。

今にも私に殴りかかりそうなおそ松を、カラ松が抑えてる。

「離せよカラ松！」
「落ち着け、おそ松…」
「だって、だってあいつが！！」

嗚呼、私は一体────。