手記拾壱頁目 ページ13
それから私は、狛治さんが来てから以前より家族から反対されるのをものともせず毎日恋雪ちゃんと狛治さんの所に通いつめた。
恋雪ちゃんと、お話するのはいつものように楽しかったし嬉しかった。
けれど私の中で恋雪ちゃん以上に狛治さんが私の中で大きくなっていくのを月日が経つにつれて感じていた。
そして、とある夏の夜。
『恋雪ちゃん、大丈夫?』
布団にいるのは暑いというので狛治さんと私が恋雪ちゃんを挟むようにして三人並んで縁側で座る。
恋「うん、平気だよ。」
縁側は部屋よりも風が通るから涼しいけれど少しばかり額が汗ばんでくる。
恋雪ちゃんは汗を多めにかく体質だから、のぼせないように団扇で優しくあおいであげる。
恋「来週の今日は花火大会だね。」
恋雪ちゃんは目を輝かせてそう言う。
恋雪ちゃんは小さい頃からとても花火が好きだ。
『そうだね、小さい時一度だけ二人で手を繫いで行った時あったね。』
そう、私も恋雪ちゃんもほんの小さい頃に二人して家から抜け出してお祭りに行ったことがある。
コツコツと日頃から貯めていたほんの少しばかりのお金で雲のようなふわふわの綿菓子を二人で分けて食べて花火を見た。
そして花火が終わり、帰ろうとした時に人混みに紛れた私達が逸れたことを思い出す。
『恋雪ちゃん!!』
恋「Aちゃんっ!」
幼子だった私達が大人の波に逆らえるはずもなくてお互いに伸ばした手は掴むことが出来なかった。
私はその後、道端で泣き崩れてしまった。どうしようもなく怖かったからだ。
一人になってしまったのが怖いわけじゃない。
かけがえのない友人を、身体の弱い恋雪ちゃんを秘密で連れ出して挙げ句の果てには逸れてしまったのだ。
幸い、双方の親が私達を見つけ出してくれたがそれから私は人混みが、あのお祭りが怖くなってしまった。
『そうだね……。』
昔の苦い記憶を思い出して暗い気持ちになってしまうのが分かって、二人に気付かれてしまわぬよう淡く光る月を仰ぎ見た。
狛「………………。」
狛治さんからの視線には気付いたけれど、気付いていない振りをした。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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