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佐久間と一緒に後部座席に座っているおかげか、
思ったより、スムーズに学校まで到着して。
亮平は、まだ、泣かないで頑張っている。
佐久間「阿部ちゃん、手、冷たいね」
やっぱり緊張して冷たくなってしまった
亮平の手を、佐久間が握って温めてくれて。
岩本「お腹は、痛くない？」
阿部「痛いけど、まだ、大丈夫」
顔色もそこまで悪くなさそうだし。
岩本「どうする？一緒に行けそう？」
俯いていた顔を上げて、周りを見回したけど、
佐久間の手をギュッと握って、また俯いた。
阿部「……ここで、待っててもいい？」
岩本「うん、いいよ。何かあったら、佐久間に言ってな」
亮平の頭を軽くなでて、後のことは佐久間にお願いした。
少し期待してしまった分、残念な気持ちを抱えつつ、
いつもどおり、先生方から配布物を受け取って。
それから、 昨日、病院で相談した結果も伝えた。
岩本「今日も、一緒には来たんですが、
車から降りられなくて」
まだ、保健室に行くのも、時間がかかりそうだし、
先が見えなくて、暗い雰囲気で話してしまったんだけど。
先生方は、一緒に来られたことを喜んでくれて。
本人の体調と気持ちが一番ですから、
焦らずに、見守っていきましょう、と言ってくれた。
良くも悪くも、亮平みたいな生徒の対応に慣れていて、
長い目で見てくれるから。
焦ってしまいがちな俺の気持ちにブレーキをかけてくれる。
そのあと、もうすぐあるという、テストの話になった。
そういえば、全然出席していなかった中学生のときも、
テストだけは学校に行って受けていて。
教室ではなく、別室で受けさせてもらって、
俺も同じ教室の後ろで待っていて。
普段、家で勉強している成果を存分に発揮して、
すごく良い成績ばかり取ってきていたっけ。
そのことは事前に相談しているから、
高校でもきちんと考えてくれていて。
岩本「帰って、本人と相談します」
なぜかテストは好きな亮平だから、
そのときだけは登校できるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に車に戻った。
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作者名：アクモ | 作成日時：2023年2月1日 20時
