私と別れて欲しい【狗巻棘】【完結】

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「ただいまより新郎新婦が入場いたします。

正面入り口にご注目ください。




どうぞ盛大な拍手でお迎えください。」









司さんの手を取り、

スタッフの方によって開かれた壮大な扉をくぐる。









知らない人から向けられるびっくりするくらいの拍手の量が心臓に響き渡る。

…ほとんど年寄りだ。









ヴァージンロードをゆっくりと歩き、1番前の決められた位置につく。









「それではこれより、

西園寺財閥の跡取り・西園寺司さんと

国内唯一の歴史ある名家である天國家の天國Aさんの

結婚式を始めさせていただきます。







この結婚式は、新郎新婦の希望により、

お二人が日ごろからお世話になっている皆さまの前で結婚を誓う、

人前式の形で行います。

本日お集まりいただきました皆さま全員が

結婚の証人となるわけです。









どうぞ皆さま、

お二人の結婚の誓いをしっかりと見届けてくださいますようお願いいたします。」









口が上手いな、司会の人は。

司さんが人前式を選んだのかな。









式場にいる殆どは西園寺財閥の関係者で

天國家の者は私の両親だけ。

その両親も、財閥の関係者の方も興味あるのは " 司さん "









…あぁ。息が詰まる。早く終わってくれ。









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まだ17歳なのに生い立ちを紹介され

親から渡された指輪を司さんと交換。



そして結婚の誓いを司さんが述べ、









時は









「＿＿＿＿＿＿＿＿それでは、誓いのキスへと移ります。」









.









…誓いのキス。

こんなのドラマでしか見た事ない。









…今まで頑なに拒んできた大人の行為を

ついにする時が来た。









＿＿＿＿＿＿＿＿そう、私は


私を良くしてくれた人たちを捨てた最悪な人間。





罪滅ぼしにもならないけど

これからは西園寺財閥のために生きる。

拒み続けては駄目なのだ。









司さんは優しい手つきでベールアップをする。

リハーサル通り、私はゆっくりと目を瞑った。









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