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「スングァナー」
「お、いらっしゃい」
店に入ってきたのは彫りの深い綺麗な顔立ちをした男の人。
スングァナは彼を快く迎える。
『こんにちは ハンソルくん』
「こんにちは Aさん」
私も彼を笑顔で出迎えた。
彼の名前はチェ･ハンソル。
アメリカと韓国のハーフだ。
詳しい話などあまり聞かないけれど、私がスングァナやハンソルくん本人から聞いた話では
ハンソルくんは幼い頃に両親を亡くしている。
妹がいて妹さんと二人暮らしの生活。
妹さんが学校に行っている間など暇なので よくここに来ているのだ。
私が彼の過去を詳しく知ることになるのは、もう少し後の話だ。
ハンソルくんは １日の大半はここのカウンター席に座っていて、スングァナや私との会話を 楽しんでいる。
ちなみにハンソルくんはスングァナと同い年。
頼む物はいつも一緒。
「キャラメルマキアート」
「シロップなし」
「さすが、分かってる」
ハンソルくんの「さすが」という言葉にスングァナは少し得意気な表情だ。
私はカップに ハンソル専用 とペンで書いて、それをスングァナに渡した。
『ハンソルくん用のカップつくろうかな』
「キャラメルマキアート限定とか？」
『あ、いいかもそれ』
「ふはっ、じゃあたまには違うの頼もうかな」
『そしたら私の中でのハンソルくん＝キャラメルマキアートのイメージが崩れちゃうよ』
二人して笑い合った。
その間 スングァナは慣れた手つきで注文品を作る。
「ほい、おまちど」
スングァナの作ったキャラメルマキアートを受け取り
「Thanks」
と流暢な発音でお礼を言ったハンソルくん。
「あー…おいしい」
「そりゃあ俺が作ったんだから」
「違うよ、Aさんがメッセージ書いてくれたからだよ」
私の方を見てニコニコ微笑んでみせた。
『あ、嬉しいな〜』
スングァナはムッとしてる。
「んじゃもうカップの文字から何から何まで俺が全部作ってやる」
『私仕事ナシ？！』
賑やかな会話の中
また店のドアが開いた。
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作者名：ぶー | 作成日時：2015年10月27日 20時
