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少し 、と言ったわりにここで話す訳では無いらしく
同じタクシーに乗り込むと、彼が行き先を告げた
今日は彼の家に向かうようだ
車内は無言
先程使いすぎた腕が既に悲鳴をあげていて、これじゃあ当分愉しいことは出来なさそう
岩本「 ……悪い、さっきは言い過ぎた。 」
「 ううん、私が悪いから。…大丈夫。」
家に着くと、彼は何も言わずに私をソファに誘導した
岩本「 ……ほら、抱いてやるから。 」
「 ごめん、そういう気分じゃない。 」
ギスギスした空気
だけど、抱いてやるって言い方も少し腹が立つ
私の扱いって簡単だもんなぁ、なんて自己嫌悪
日頃の行いが悪すぎるせいなんだけどさ
岩本「 体力作りのメニュー、俺が作ってやるよ。 」
上からな物言いにまたもイライラするけど、彼のメニューはきっと間違いがない
実際問題、私が皆の足を引っ張っているのは明白だし、これに従わないわけにはいかないから
「 ありがとう。手間を掛けさせちゃってごめんね？ 」
一応、その場しのぎの謝罪とお礼
彼は私の言葉が言い終わる前に、私の体をさらりと持ち上げた
岩本「 その前に、まずお前の基礎体力を知る必要がある。 」
重苦しい空気から一転
何が起こっているのか、きょとんとしていた私だったけど
彼の足が寝室に向かっていることで、事態を把握した
「 ちょっと待って。だから今日は私やらないって、 」
岩本「 お前の意思なんて聞いてない。俺がAの、体力作りを手伝いだけ。 」
彼は強引だ
だけどその強引さが、どうも癖になる
岩本「 ほら。もっと、汗かこうぜ？ 」
────
岩本「 毎日毎日、ひ弱な奴とばかりやってるからだな。 」
2人きりのベッドの上
お互いに汗ダラダラで、纏っている空気も心做しか熱気を帯びていた
「 確かに、それは言えてるかも。 」
岩本「 これからは相手、俺と佐久間だけにしろよな。 」
「 待って。それは多分一週間以内に、私が過労死する。」
自然と溢れていた2人の笑顔
やっぱり彼は、甘々な雰囲気が良く似合う
その日は仲直りの印に、彼の腕枕でぐっすりと眠れた
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作者名：FON
| 作成日時：2020年7月3日 6時
